扇風機を貸せと言ってきたDQNを退学に追い込んだ

高校時代にとある高校の寮に入っていたのですが、
そこが日本屈指のヤンキー校だったため、
イキがって格闘技なぞをやっているヤンキーが
幅をきかせておりました。
喫煙・飲酒は当たり前、
武器所持なぞ珍しくもなんともなく、
武器あるところに脅迫ありで、
脅迫や恐喝が横行しておりました。

その中でも特にヒドかったのが3年生、
空手道部主将のSでした。

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私がSの脅迫を初めて見たのは
寮内で突発的に起こった「宴会」のとき。
当時私は1年生でした。

粋がってチューハイの缶を開けようとしたSを
2年の先輩であるFが咎めたことにSが激昂。

F「先輩チューハイはダメですって」

S「何やその言い草は!なめとんかコラ!!」

F「ちゃんと敬語で言ったやないですか」

S「そういう問題ちゃうんじゃボケ!!」

とこのあたりから暗雲がたちこめ、
イヤな予感がしていたのですが・・・。

S「オイT!(Sの後輩)ナイフ持って来い!!」

S「F、お前ナイフ貸したるから自分で始末つけろ。
  それか明日中に100万持って来い」

案の定、脅迫モードに。

この後は周囲の人間が尽力したかいあって丸く収まりました。
が、この時近くに置いてあった扇風機を
蹴り飛ばして破壊し、威嚇していたことが
後ほどSの運命を大きく変えることに・・・。

「宴会」でSとFが和解し、
その時にSと関わりを持った私は、
S、Sの後輩であり私の友人でもあるTと共に
寮周辺で良いこと悪いこと、色々しながら
楽しく過ごしておりました。

Sが私の部屋を訪れることもあり、
私の部屋にSとTとで泊まることもありました。
脅迫なぞとはまったくの無縁で、
まさかその矛先が私に向こうとは
夢にも思いませんでした。

平和で楽しい日々に亀裂が入り始めたのは
Sと関わりを持ってから1ヶ月経つか経たないかくらいの時。

Sにはとある悪グセがありました。
これはSに限らず
ヤンキーやDQNに共通していえることですが、
生活用品や菓子類、食料品の類などを
タカるという悪グセが・・・。
クレクレママの凶暴版と思って頂ければ
想像に難くはないと思います。

中でもカップ麺の類は
寮生にとってかなり重宝するものでして、
格好のターゲットとなっておりました。
断るのはなかなか恐いので、

S「Oちゃん(私の呼び名)
  この焼きそばもらってってもええかー?」

私「賞味期限近いですし食べきれないので良いですよー」

と理由を付けては「快諾」していました。
それでもガマンならぬときは断っていたのですが・・・

S「Oちゃんこれ持ってってもええか?」

私「すみません、それはちょっと・・・
  他のにしてもらえませんか?」

S「ええやん、いけるって。また買えばええやん」

とSは我を押し通し、半ば強奪。
こんなことが度々ありましたが、
関わりを断つほどではないし、いい人だと思っていたので
関わりを持ち続けておりました。

そんなこんなで関わりを持ち始めてから結構な日が経ち、
初めてSの部屋を訪れたとき、
忘れ得ない出来事が起きました。

事の発端は、Sの

「扇風機を貸してくれ」

という一言に過ぎませんでした。

当時は丁度夏の時期。
オンボロ刑務所とでも言うべき寮は暖房あれど
冷房はないようなところでしたので、
夏ならではといったところですね。

もちろん、Sに前科がなければ喜んで貸していました。
しかし、Sは「宴会」の時に扇風機を蹴り壊した
という決定的な前科があります。

私が持っていた扇風機は母方の祖父母が
「少しでも良いモノを」と買ってくれた
10000円ほどするTOSHIBAの扇風機。
しかも、Sの部屋には扇風機が一台と
USB接続のミニ扇風機が一台。
なおさら貸せるワケもなく、断ることに。

S「Oちゃん、扇風機貸してくれや」

私「すみません、S先輩の頼みであっても
  それだけはちょっと・・・。」

S「ええやん、いけるって。」

私「本当に申し訳ないんですが、
  それだけはできません・・・。」

とゴリ押しパターン。Sはこれに続け、理由を問う。

S「何であかんの?」

私「自分の所有物を自分の管理下に置けないからです。
  それに以前蹴り壊していますから心配ですし・・・。」

S「大丈夫やって、一晩だけやから。
  Tの親が来るからTの扇風機を返さなあかんねん。」

どうやらSはTから扇風機を強奪していた模様。
聞けば2ヶ月は返ってきていない模様。
寮ではこうしたこと・・・
いわば「永久に借りる」という行為が横行しており、
尚のこと貸せないので、少し身構える。

私「たとえ一分だろうが一時間だろうが
  自分の管理下に置けない時点で貸せません。
  それに、S先輩は一度扇風機を蹴り壊していますし、
  あれは大事なものですので・・・。」

S「大丈夫やて、壊さんから。」

と、ここで
タバコのヤニだらけになった扇風機を見せられる。
言うまでもなく、私の心は
「貸したら終わり、ぜってー貸さんw」
に決まっていたので、頑なに拒む。
そして、その時にUSB式のミニ扇風機を発見したので
代替案を提示することに。

私「汚れも大分ひどくなっていますし、貸せません・・・。
  申し訳ありません。
  ところで、ミニ扇風機をH先輩(2人部屋なので)の
  ベッドに固定すれば良いのでは?」

S「それは嫌や。お前が貸せば住む話なんじゃボケコラ」

とここからSがファビョり始める。

私「しかし、僕は貸せませんし、
  ミニ扇風機を使えば良い話ですよね・・・?
  仕方がないのでは?もしくは他をお当たりください」

S「貸せぇ言うとんねんコラ」

私「・・・貸せません。申し訳ありません。」

S「朝5時に外の雨どいを歩いて扇風機持ってくるか、
  今持ってくるか選ばしたるわ。」

私「ですから貸せません。」

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S「お前なめとんかコラ!!ドォン(壁をぶっ叩く音)」

これでは埓が開かないし、
扇風機を大人しく貸した方がマシだと思い、
Sの要求を受け入れることに。

私「分かりました、ではお貸しします。」

S「もうええんじゃそれは。」

フヒョォォォォオオオオ!?!?wwwww
完全にワケワカメ状態に陥った私に
Sが追い打ちをかける。

S「お前ナイフ貸したるから自分で始末つけろ。
  それか明日中に100万持って来い。」

常套句発動wwwwww
これでは埓が開かないというのを通り越しているので、
Sに対し警告。

私「あまりひどいようですと警察に通報しますよ。」

S「おう呼んでみろやコラ。
  犬のおまわりさんなんか全員ボコったるわコラ!!
  はよ呼べや!!」

私「では一旦呼びますのでおいとまさせて頂きます。」

S「ここで呼べばええやん」

私「この場で呼べば
  僕の身の安全の保障がないので外で呼びます。」

S「ここでよべぇ言うとるやろコルァ」

明らかにマズい発言をしてしまったな、と感じましたね。
火に油をそそぐどころか
火にニトロを注いでしまった気分でした。
これ以上の押し問答は無意味と判断し、
ひとまずはSの部屋からの脱出を図り、
その後での報復をと考えました。

ここで私は発言撤回を試みます。

私「すみませんでした。
  警察を呼ぶというのは苦し紛れに吐かした戯言です。」

S「許さんぞコラ、お前俺とタイマン張れや。」

私「どうかお許し願えないでしょうか?」

S「100万か自分でケジメつけろ」

もはや無意味でした。
Sの部屋にはSの他にもルームメイトであるH、
その他にも3年の寮生が数人ほど居ました。
そもそも格闘技をやっているSに敵うとは思えないし、
運良くSを倒せたとて1人VS数人では到底敵わない。

その場に居合わせたTが加勢しても厳しいでしょうし、
しかもS以外の数人は
出口のドア側に固まって居たので絶望的でした。
それにピザな私では走って逃げられるとも思えませんし。
ここで私は無傷で部屋を出る方法を模索しました・・・
が、存外にもそれは早くに実現しました。
唐突にSがこう訊いてきたのです。

S「Oちゃんマッサージ出来るか?」

私「は・・・はい、素人並みには出来ますが・・・。」

S「じゃあそれで許したる。」

以後20分ほどマッサージをさせられました。
しかし、不思議と悪い気はしませんでしたね。
「これがこいつの最後の娯楽だ。
 だからせいぜい気持ちよくなっとけよ」
という心情でしたから。

20分間のマッサージの後・・・

S「もうええよ、これからは気ぃつけろ」

私「申し訳ありませんでした。
  今日はこれで失礼しますね。」

S「おう!」

かくして開放された私とT。
2人で各々の自室に向かっているとき、
私はSの運命を大きく変える一言を発しました。

私「なぁT、あいつ(S)ここでかなり暴れてるやんか、
  あいつを警察に突き出して
  徹底的にやろうと思ってんねんけど
  お前証人になってくれへんか?」

T「え・・・でも・・・」

私「このチャンス逃したら次はないで、
  これがあいつを消す
  最後のチャンスかもしれへんねんで!!」

T「俺の名前を伏せてくれるなら」

私「そうか、ありがとな。詳しい話は俺の部屋でしようや。」

T「じゃあ後でな」

ここで自室に戻り、110番。
その後所轄の警察署に電話を転送してもらい、
Sの悪行が脅迫罪の可能性を帯びることを確認。

当時の私は無知で、
こういう時は警察署に
直接電話すべきなのを知りませんでした。
オペレーターの人ごめんなさい。

この直後にTが私の部屋を訪れ、
「作戦会議」が始まりました。
Tに常温のコーラを振る舞い、話を進めます。

そして、最終的には教師陣に対して
「Sに厳正なる処分、それも報復が不可能に近いそれを
 下さなければ被害届けを出す。」
と脅し続けるという結論に落ち着きました。

その直後、実行に移しましたが、
ここからはかなり早く事が進みました。
私とTの脅しを受けた寮監は慌てふためき、

「明日まで待ってくれ」

と言ったのでそれに従い、明くる日は事情聴取。
そして、Sを寮で見かけなくなってから
幾日が経過したある日、
私の部屋に担任の教師が訪れました。
そして、私にこう言い放ったのを未だに憶えています。

担任「Sに処分が下りました。」

私「どんな処分ですか?」

担任「あなたが望むような形での処分です。」

私「つまり退学ですか?」

担任「はい。」

まさに勝利の瞬間でした。
Sの凶行、特にタカりには寮生の大多数が辟易していたようで、
私は英雄の扱いを受けました。

元々そんな器ではないので恐縮し、驚いておりましたが、
それ以上にSが主将を務めていた空手道部の連中からも
同様の扱いをされていたことを知ったときは
かなり驚きました。
空手道部の連中からの報復を懸念していた私には
考えられないことでしたよ。

その後は報復の危険性にかこつけて
ちゃっかり学校をサボっておきましたw

ただ、教師はSを更生させようと頑張っていたようで
それなりに愛着もあったらしく、目を付けられたのか、
一年半後に今度は私が
退学(自主退学ですが)を迫られることに
なってしまったので刺し違えかも分かりません。

つい先日、その学校を訪れて
教師陣と「仲直り」してきたので記念カキコです。

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