嫁が真夏にエアコンをつけさせてくれずに俺は熱中症で倒れた

嫁は「冷房=害悪」という思考の持ち主で、
とにかくエアコンをつけたがらない。
マンションの部屋が南西向きで、
今の季節は部屋が地獄のように
暑くなるんだけど、それでも「電気代がかかるから」と言って、
冷房をつけようもんなら烈火のごとくキレる。
別段生活がカツカツってわけでもないんだけど、
とにかく冷房にかかる電気代を嫌がる。

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嫁が暑さに我慢できなくなった場合のみエアコンをつけて、
10分ほど経ったら消す。その繰り返し。
「頻繁に電源を入り切りするほうが電気代がかかる」
と言ってもきかない。
一台しかない扇風機は嫁が占有。
もう一台買おうと言っても一台で十分だと却下。

仕方がないので残業を増やしたり、
夜ジョギングにかこつけて近所のコンビニや
ブックオフで立ち読みしたりして、
不快指数が高い家にいる時間を少しでも減らすようにした。

で、ある日の週末。湿度も気温もやたら高い日だったけど、
嫁が「仕事が休みなら掃除でもして」と言うので、
部屋に掃除機をかけることに。
冷房をつけられないのでテーブルどかして掃除機を持ってきた時点で汗だく。

終わったら風呂入って、
涼しいブックオフでも行くかーとか考えながら掃除機かけてたら
急に貧血みたいな感じでめまいがして、目の前が真っ暗になった。

立ってるのが辛くなってきたので部屋の隅に座り込んだら、
今度はだんだんと意識がもうろうとしてきた。

夢うつつに嫁が「ちょっとどうしたの!!」
とヒステリックに叫んでるのが聞こえた。

気が付いたら、病院のベッドに寝ていた。
嫁の両親と嫁が神妙な顔をして、
病室の椅子に座っていた。

医者が言うには、俺は熱中症で倒れたらしく、
救急車を呼ぶのがあと10分遅ければ危ないところだったそうな。

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嫁の父親は建築会社で管理職をしていて、
とにかく「安全第一」な人なんだけど、
俺が熱中症に至った経緯を聞くと激怒。

「家の中で熱中症になんかなるわけないと思った」と言う嫁に、
医者が屋内での熱中症の事例をこんこんと説明。

「今後子供が生まれたらお金がかかる、電気代の節約が云々」
と言う嫁に、嫁の母親が
「大の大人が倒れるような環境の家で健康な子供が育つわけがない」と一蹴。

嫁は塩をかけられた青菜みたいになってうなだれていた。

とりあえずその日は病院で検査なんかを受けて帰宅したんだけど、
後日、嫁が興信所に俺の身辺調査を依頼していた事が発覚。
夏になってから俺が家を空けることが多かったため、
浮気を疑ったとのこと。

当たり前だけど結果はシロ。

会社で残業してる俺、コンビニで立ち読みする俺、
公園でアイスを食う俺の写真が
興信所から送られてきたそうで、罪悪感にかられた嫁が自ら白状した。

事情を知った嫁両親から泣いて謝られたけど、
「娘さんと円満に暮らすために色々と努力してきたつもりだったが、
熱中症で死にかけた上、信用もなかったのだと思うとさすがに心が折れた、
できればしばらく一人でじっくり考える時間がほしい」
と伝え、ひとまず嫁を引き取ってもらった。

さしあたって今は、自分の意思で自由に
冷房を入れたり切ったりできる生活がとても快適。

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