兄がお見合い当日に虫垂炎になったので、相手に断りと詫びを言いに行った結果

会った日。
「××(嫁)さんですか?」
「はい。そうです。はじめまして」
「はじめまして俺です。このたびは
わざわざお越し頂いたのにこのような形になってしまい
申し訳ありません」

「こちらこそお忙しいなか来ていただいてありがとうございます。
お心遣い感謝します」

だいたいこんな挨拶ですませた。しばらくお辞儀合戦。

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嫁と会ったのは俺が30のときで、こっちは既にバツイチ。(子は無)
結婚はもうこりごりどころか女性と交際する気力も無かった頃だ。
(簡単にまとめると離婚の原因は
元嫁の不倫と言葉による暴力で俺が耐えられなくなったこと)
そんな頃に会ったのが今の嫁。
父の知り合いのYさんが俺の兄に見合い話をもってきたのがきっかけだった。
前夜に俺の所に兄が虫垂炎で病院に入院することになった知らせがきて
兄に頼まれた俺がかわりにYさんに断りと詫びを言いに行った。
そしたら、困った顔をされた。

Yさん「××さん(嫁)はK市の人でね。
今日は観光のついでにあちこち周ると言っていたから、
もうこっちに着いている」

K市からこちらまでは距離があった。
てっきりもっとご近所の人だと思いこんでいたから俺も反応に困った。

Yさん「僕も謝らないといけないことがあって。
××さん、○日に帰られる予定なんだ。
□□(このあたりの観光で有名所)で行かれるって
言っていて楽しみにされていたんだけど
僕もお二人とも(俺兄と嫁)車に乗って行って下さいと約束してしまった。
ただ急遽僕も都合が悪くなってしまって、
行けるかどうかわからない」

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結局Yさんから「もし君が都合がつくなら」
と「このお礼は必ずするから」と押されてしまい
俺が代わりに嫁のとこへ会いに行くことになった。

ちょっと面倒なことになったなと思ったが、
幸いその日は仕事が休みで翌々日は代休日。
Yさんが教えてくれた嫁の連絡先に電話をし、事情を説明。
電話越しの嫁は柔らかい落ち着いた声で
「お気になさらないで下さい」と言っていたが
俺でよければ代わりにご案内しますと伝えると、
丁寧にお礼を言ってきた。
それで、嫁と会うことになった。
俺もどうしようと思っていたが、嫁がすごく感じの良い人だったので一安心。
嫁が帰るまでの間、リクエストにこたえてあちこち案内した。

こりゃあ兄も良い縁がまわってきたんじゃないか
幸せになれよコノヤローと思っていたら
数日後にYさんから意味深な電話が来た。
それから少し経ってたと思うが、
嫁から「〇月にこっちへ来る予定があるのでもしご都合が合えばお会いしたい」
と電話が入った。

俺は状況が理解できなかったので兄へ相談。
兄は「いいよいいよ。Yさんから聞いてる。
良いね~今度はうまく行くといいな」って言ってた。
こっちは益々、意味がわからない。

その次の次に嫁に会ったとき、
実は俺も嫁のことをちょっと意識してしまっていたんだけど。
その後3回目にあった日嫁から告白されたのがきっかけで発展した。
俺がバツイチだってことも話した。
はじめは向こうも「友人の一人として気軽に仲良くして頂けたら」
って言ってくれてた。
俺が嫁の人の良さに惚れてしまったのが大きかったな。
2年後結婚。

ちなみに今年、兄が虫垂炎で入院した時に
同じ病院だった方と結婚したんだ。
人生ってなにがあるかわからないもんだなと思う。
(俺も好きになれる人はいたとしても、
もう誰かと一緒に暮らしたいとは思わないだろうと考えていたし)

嫁は「挨拶してくれたときから俺の雰囲気が好みだった」
と言ってくれていたが
そんなこと人に言われたのは初めてだったんで、
きっと嫁の好みが変わっているんだと思ってる。
嫁は変わり者なんだろうけど、
やさしいし。とにかく今は幸せだ。
天気のいい日に干して
「今日の布団ふかふかだ」って、
そういう小さいことで嬉しそうにしている嫁に
癒されている俺がおります。

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