ある日、末期癌で入院中の親父が大きな声で俺を呼び、 「犯人が潜伏している場所を掴んだ!」と叫んだ

家の親父。
DQN田舎で、継母に育てられ、イジワルされて
ご飯もろくに食わせてもらえない子供時代をすごした。

どうしても大学に行きたくて、
昼間働いて、夜間大学に入学した。
そして、一部に転部し、警察官になった。

浅間山荘事件の時は機動隊として
盾をもって浅間山に行った。
ノンキャリアが出世するには
機動隊に入るのが近道だったらしい。
そして公安に配属。
親父は公安の仕事に誇りを持っていた。
一生続けたいと思っていた。

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しかし、DQN腹違いの弟が犯罪を犯し、
そういう身内がいる人間は
もうどんなに頑張っても出世できない。

2人の子供を満足に育てられるように出世したい
VS
警察を続けたい、
と悩んでノイローゼ気味になりながら、
ヘッドハンティングされていた民間の会社に転職。

俺と妹は、海外旅行やブランド物とは無縁だったが、
何不自由ない生活をさせてもらった。
中学から私立校に入れてもらい、
私立大まで出してもらった。

そんな親父が、大学2年の時に、
すい臓がんを発病。
末期だった。
あっという間に、入院してモルヒネ漬けの毎日になった。

家族は、毎日病室に通った。
パワフルな親父が縮んでいく様子を見るのは
悲しくて悲しくて堪らなかった。

すい癌は壮絶で、
親父に投入される鎮痛剤の量はドンドン増していく。
と、比例して親父の意識も混濁していく。
幻覚、幻聴が出てくるんだ。

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ある日、親父が大きな声で俺を呼び、
「犯人が潜伏している場所を掴んだ!
はやく、××(警察時代の元同僚)に電話してくれ。頼む!」
と言い出した。

「親父、それは…」幻覚だよとは言えなかった。

「頼む!頼むから!早く確保しないと。電話してくれ!」
「わかった。じゃ、公衆電話から電話してくるよ」

と言うと、

「公衆電話じゃダメだ!ここで掛けろ!
他にも有力情報がある。俺の前で掛けろ!」

と譲らない。

しかたなく家に掛けた。電話に出たのは母だった。
俺は母に

「××さんですね。俺は父の息子です。
どうしても父が××さんに伝えたい情報があるそうなんです。
○○の潜伏場所が分かったそうで」

と言うと、
母は、状況を察したようで、
「ハイ、ハイ…」と言いながら電話口で号泣した。

父は後ろから、暗号のような言葉をドンドン言い、
俺は電話口にむかって、
わけのわからないままその言葉を繰り返した。
電話が終わると父は安心したように眠った。

幻覚を見るとき、警察の夢を見るのか。
そんなに警察が好きだったのか。
なのに、俺たち家族のために、
職を変えて頑張ってくれてたんだと思うと
ありがたく、そして、
のうのうと暮らしてきた自分を呪った。

そして、最期、父は、
俺と妹と母に「ありがとう…」と言った。
そして意識不明になり、静かに逝った。

今でも、父のことは自分にとって痛恨だ。
反抗して悲しませてばかりいた。
父のことはずっと身近に思い出したいけど、
思い出すと辛い。

俺は一生、こ
の痛みを背負っていくことになるのだろう。

でも、いい父だった。

自分語り、スマン。長くてスマン。

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