「こんにちは。私あなたの旦那の恋人ですよ。婆はとっとと離婚しろよ、きもいんだよ」

5年ぐらい前の話。
同じ町内の実家に遊びにいってた時、かかってきた電話に出たら、

「こんにちは。私あなたの旦那の恋人ですよ。
A田A男さん(私の父)と結婚する約束もしてるけど気づいてないんだってね。
婆はとっとと離婚しろよ、きもいんだよ」

みたいなことを前半嘲笑、後半怒鳴り口調で言われてガチャ切りされた。

ええー父の浮気かよ…ってショックうけたけど、
父は主夫で、家庭菜園の自給自足に凝ってて1日中畑にいるし、
雨天の時は大掃除だの趣味の大作の手芸だのをやってて、
どう考えても浮気する時間はない。
その日の晩に父にこそっと「こういう電話あったけど浮気してる?」って聞いたら、
「そんな時間あると思う?」と冷静に返された。
だから間違い電話だと思ってたんだけど、
数日後に母あての差出人名がない手紙が来た。

「心当たりはないから、お父さんが開けておいて。普通の手紙だったら見せて」

って言われて父が開けたら、父の寝顔の写真と、

「ホテルでA男さんを撮影(ハート)」

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の他にもアレな内容が書いてある手紙だったそうだ。

「気持ち悪いから見ない方がいい」

って言われて、私は見てないんだけど。
いや知らないし…と父が気持ち悪くなって母に相談、
私にも電話の内容の確認をされた。
犯人探ししたかったけどどうやればいいのかわからなくて、
「探偵に頼むしかないかな」と探偵を選んでたときに、当の浮気女が痺れを切らして来襲。
母は仕事、父は畑でいなかったから、父だけ家に呼び戻した。
父を待ってる間、私に向かって
「私がA男さんの恋人なんだから、離婚するように言え」とか、
「自分の方が愛されてるし、若くてきれい」とかいろいろ言ってた。
父が戻って来て、「あの、どちら様ですか?」って浮気女に聞いたら
「待って声が違うんだけど!オッサン誰!?」って叫ばれた。

3人そろってポカーンしたあとで、少しずつお互いの情報を交換し合って、
浮気女の恋人は、父のプロフィールを騙る父とそっくりの別人なのが判明した。
名前、年齢、住所、前の職業までそっくり父のまんま。
唯一違うのは携帯電話の番号。
二人が会ってたのは住んでる町から結構遠いところだったんだけど、
「知り合いに見つかるとまずいから遠めのところで会おう」って言われてたそうだ。
「今から相手に電話する」って浮気女がきれて、そっくりさんの携帯に電話して、
ちょっと喋ったあとで父に電話を渡した。

父がそっくりさんの声を聞いてたら、
「おまえB太だな!?」って怒鳴った。
すぐに電話切られちゃったんだけど、
父は「あれは俺の弟だ、間違いない!」って興してて、
もう夕暮れだったのに、そのまま浮気女と連れ立ってB太叔父のところへ突撃。
私はもうまともな食事は作れないだろうと思って実家の食事の用意をして、家に帰った。

後日聞いた話だと、そっくりさんは本当にB太叔父。
B太叔父はいつも髭を生やしてて、髪は明るい茶色で立ててる、
父は髭なしでのっぺり黒髪、そのうえメガネだから普段はあんまり似てなかった。
浮気女と会う時だけ、眼鏡をかけて髪をおろして黒髪に染めて髭を剃って、
とやってたそうだ。

当日は浮気女とB太叔父の奥さんのリアルファイト→こんな最低男いらん!と
両方の女から捨てられて、奥さんには家を追い出されて、後日離婚。
親戚には実兄を騙っての浮気だってことでめちゃくちゃ怒られて、
しかも祖母からは「おまえは人間のクズだ!」って縁を切られてた。
両親ももちろんB太叔父とは縁を切ったし、B太叔父とは縁を切った親戚の方が多いみたいだ。
開口一番の「こんにちはとられさん」はすごいインパクトで、
今でも忘れられないんだよね。

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