うちの叔母さんの旦那様の話
街中で二人で買い物中にキャッチセールスに捉まった。
会場まで連れて行かれると、
「はめると血がサラサラになる」
という特殊な金属の腕輪を売っているという。
叔母さんが採血してもらい、
顕微鏡で見せてもらうと確かにゴチャゴチャ何かいっぱいいる。
不安になった叔母さんが、旦那様を呼んで自分の血を見てもらった。
「…これ、血を垂らし過ぎだよ。ダメだよこれじゃ、何にも分からないよ。」
実は旦那様、某医療系大学で血液学を教えている准教授(専門は白血病)。
言うが早いか、唖然とする販売員から器具を借り受け、
サッサと自分で標本を作って顕微鏡に載せた。
「…うん、見た限りは赤血球に特に異常は無いね。見てごらん、綺麗なもんだ。」
最初に販売員が見せた顕微鏡は、血を垂らし過ぎて赤血球が重なり合い、
ゴチャゴチャして見えていただけだそうだ。
旦那曰く、
「あれでは形も個数も分からないから、検査には使えない」
とのこと。
「もし異常があれば、ちゃんとした標本なら見ればすぐに分かる」
とも。
たぶん販売側はわざと変なものを作ってたんだと思うけど…
当然、何も買わずに会場を後にし、
一連のやり取りを見ていたお客さんも何組か一緒に出てきたらしい。
「普段はいつも眠そうな顔して冴えないけど、
あの時の旦那は一番カッコ良かった」と未だに叔母に惚気られる。
会場では通報しなかったけど、立ち去ってから外で110番したそうだ
その後の経過は叔母さんからは特に聞いてないけど…
旦那様が通報したらしいからには、たぶん普通に違法行為なんだと思う。
俺は医者でも法律家でもないのでよく分からんが…