私が小学生だった頃私が姉を電車で送ってあげていた。帰りの電車でもうじき降りる駅と支度を始めたが止まらなかった

私が小学生だった頃の話
私の姉は電車の乗り方が分からない、ちょっと物知らずな子だったので、
母が姉を隣市の塾に車で送ってあげられない日は、
電車での外出に慣れてた私が姉を送ってあげていた。

その日もいつも通り姉を電車で送っていった。
帰りは母が迎えに行くので、姉を塾へ連れて行ったら駅に戻って、
目的の駅に止まる電車に乗った。
姉を送った帰りにいつも乗る急行電車だったはずだ。
乗ってからしばらくは普通だった。
川を越え、小さな駅を通り過ぎ、もうじき降りる駅だと降車の支度を始めた。

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しかし、電車はその駅には止まらなかった。
え?と慌てて車掌さんを探したけど見つからなくて、
田舎の電車なもので電光掲示板なんてものはない。
アナウンス頼りなのに、アナウンスが流れない。

窓に噛り付いて外を見た。
前にも電車を乗り間違えたことはあったけど、その時とはなにか違った。
まだ日暮れには遠い時間のはずなのに真っ暗で、
車両にはいつの間にか私しかいない。
さっきまで確かに数人いたはずなのに。
線路沿いに生い茂る木が真っ黒ですごく不気味で、怖くて仕方なかった。
「次の駅に着いたら降りるんだ」と自分に言い聞かせて、
小さくなって震えてた。

3~40分も乗ってただろうか、「次はG駅~G駅です~」とアナウンスが流れた。
ホッとしたよ、だって知ってる地名だったから。
でも冷静に考えると、おかしいんだよね。
私がもともと降りようとしてた駅は、そこそこ大きい駅。
その駅を通過する電車は、G駅なんて小さい駅には止まらないんだよ。
そこを通り越してもっと大きい駅に止まるんだ。

でも「ここで降りなかったら二度と帰れなくなる」って思ってとにかく降りた。
外は真っ暗で、ホームには誰もいなかった。
民家の明かりもなく、駅の改札のところだけが明るくなっていた。
その駅は、上り線と下り線を移動する時には改札をくぐらないといけないようになっていて、
私はとても困った。乗り越し清算をしなきゃいけない。
しかし無人駅だし、精算機は見当たらない。

どうにかしなきゃと改札のあたりをうろついて、
やっと駅員さんの呼び出しボタン(?)みたいなものを見つけた。

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随分古びて薄汚れていたので通じるか不安だったが、
数回の呼び出し音のあと、「はい、どうしましたか」
と優しそうな男の人の声がして、人の声に安心して思わず泣いてしまった
泣きながら状況を説明した。
駅員さんは優しく宥めながら「うん、うん」と話を聞いて、
「怖かったね、大丈夫だよ」と言ってから、ちょっと黙った。
奥でがちゃがちゃ何かしてる音がした。
「切符を見せて欲しいんだ。呼び出し口の横にね、
カメラがあるのわかる?そこの台に切符を載せてね」
と言われて見ると、確かにそれっぽいものがあった。
そこに切符を乗せると、すぐに駅員さんが
「はい、いいよ。切符をポケットにちゃんとしまってね」と言ったので、
言われたとおりに切符をしまった。

「いいかい、今からそこの改札をあけるからね。矢印のマークが赤くなったらすぐ通って」
「赤くなったら」
「うん。そしたらね、すぐに横断歩道があるから、気をつけて渡るんだ。」
「うん」
「渡った先に、元の駅に向かう電車の改札があるからね。そっちも開けてあげるから、
向こうに着いたらすぐに呼び出しボタンを押すんだよ。すぐだよ。」
「わかった」

会話はこんな感じだったと思う。
言われたとおりに赤い矢印の改札を通って、
すぐに向こうの改札に行った。呼び出しボタンを押したら
また同じ駅員さんが改札を開けてくれて、

「もう通話を切らないといけないけど、君は5分後に来る電車にかならず乗るんだよ。いいね」
「わかった」

本当は怖かったけど、
さんざん泣いて迷惑をかけたんだからと我慢して通話を切った。
それから五分、じっとホームの小さいベンチに座って待った。
駅の外から何かの気配がしたけど入っては来なくて、
それが不気味で仕方なくて「早く 来い」と祈ってた
5分後の電車はガラガラだったけど、急いで乗った。

夕方なんて大学生とかが帰ってくる時間帯なんだから混んでそうなものなのにね。
ずっと外を眺めてたらだんだん空が明るくなっていって、
夕暮れ空になる頃に当初の目的の駅に着いた。
急いでうちに帰って、そのまま今日までこのことを忘れてた。

不思議な話をのサイトで、異世界の駅の話を見て思い出したので書いてみた。
あれはなんだったんだろう
ちなみに母に聞いたら、目的の駅からG駅はとても近い、
電車なら到着に10分もかからないだろう、とのこと。
私は目的の駅を通り過ぎてから、腕時計が壊れて急速に進んだんじゃなきゃ
3~40分あの電車で震えてたんだけどね。

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