中学の時、所属してた女子グループから弾かれるようになって、
いじめにあってた。
無視、ヒソヒソ笑い、物を隠す、教科書を破く、
靴をゴミ箱に捨てるなど、テンプレ通りの内容。
女子グループのリーダーというか、主犯はT子だった。
このT子とは2年半ばの修学旅行までは仲がよかった。
修学旅行では一日だけ二人部屋になったのでじっくり話した。
態度が変わったのは修学旅行が終わってから。
受験が数日後に近付いたある日、
T子に聞こえよがしに家庭の事情をあてこすられてキレた。
なんで我慢してるんだっけ自分?と、
唐突にテンションが突き抜けた。
どうせもう卒業なんだし、
いじめが酷くなったところで高校は別になる見込みだったし。
で、T子の席に行って思ってたことを全部言うことにした。
教室にたくさん人がいる状態で、
よく聞こえるように大きな声で。
何度も言い返すシーンを日記に書いて発散してたのが
イメトレになってたのか、
思ったよりスラスラ言葉が出てきた。
「T子ってさー、修学旅行の時、大部屋で一人で先に寝たじゃん。
その後みんな、寝てるT子の傍でT子の悪口言ったでしょ?
それで、その次の日は私と二人部屋だったよね。
その時言ってたよね、大部屋でほんとは寝てなかったって。
みんなが自分の悪口言ってて辛かったって、
あんな奴らもう友達じゃないって言ってたよね。
私だけは悪口言わなかった、
私だけがたった一人の本当の友達だって言って泣いてたよね」
ざわめく教室、
驚いた感じでなんか言いかける女子グループ、
蒼白になるT子。かまわず続ける。
「修学旅行から帰ったらさー、
突然私の悪口言い始めたよね。
『あんな奴らもう友達じゃない』って言ってた人たちと、
私の悪口で盛り上がってたでしょ?
私の靴も捨てたし、私の教科書破いたり、物持ってったり、
泥棒もたくさんしたよね。
要するにスケープゴートだよねー。
自分がいじめられたくないから、
『たった一人の本当の友達』を生贄にしたわけでしょ?
自分の悪口あんなに言ってた人たちと仲良くして、嬉しいの?
ねえ今どういう気持ち?
みんな、T子がいないところではまた
T子の悪口言うんだろうにねー。
私はさー、修学旅行が終わるまでは、
本当にあんたのこと友達だと思ってたよ。
だからあの時も悪口とか言わないで、
他の人たしなめてたよ。
でももう、あんたのこと本当に友達だと思ってる人間
は一人もいない。
世界中探してもいない。
だってあんた最低だもん。
悪口言われてあの時被害者みたいな顔してたけど、
悪口言ってたみんなが正しかったんだって
今ならよくわかるわー。
あんた、自分がハブられないために
『本当の友達』を売る人間だもんね。
人間のクズだよねー、クズ。
そりゃ、誰にも好かれるはずないわ。
高校でも誰か適当に生贄にして、表面だけうまくやるの?
本当はあんなに嫌われてるのにねー。
これからも嫌われ者のまま生きてくんだね」
T子、静かに泣き始める。女子グループ微妙な顔。
「私もうあんたみたいな人間のクズに関わるの
イヤなんだよね。同じ空気吸ってんのもイヤ。
こっちはあんたのこと無視してんだから、
これ以上余計な真似して関わってくんな。
気持ち悪いわ」
なんかいつの間にか他のクラスの人までのぞいてたけど、
気にせずトイレに立って
授業が始まる直前に戻った。
反撃したから余計やられるかと思って警戒してたけど、
その後はグループからは遠巻きにされてて
卒業まで特に実害なかった。
「関わるな」と言ってやったおかげで、
同じ一人でも選択ぼっち、
私があいつを嫌いだからあえて一人でいるんだ、
という気分で強気で過ごせた。
T子は入れてもらおうとしても何故かぼっちになってて、
ずっとオドオドしてた。
卒業式が終わった帰り際、一人でいるT子に
「もう会うこともないだろうねー。さよなら、クズ」
と言って帰った。T子は俯いてた。
女子グループが微妙に笑ってヒソヒソしてたけど、
私が睨んだら静かになった。
T子に言い返しただけなのに、
睨んだら静かになるみたいな影響力を自分が
持ったことに驚いたけど、
もう卒業なのでどうでもよかった。
T子はあの暴露の日から
数日後の公立受験には落ちてて、
滑り止めの底辺私立(田舎なので私立のレベルは低い)
に行ったらしい。
よくできるお姉ちゃんと比べられるのが
悩みだったはずなので、ザマミロと思った。
私はT子のお姉ちゃんと同じ進学校に行った。
T子を見返したくてずっと勉強してたんだよね。
女子グループが誰も、その高校受けないことも調べ済み。
高校はその女子グループがいないおかげで
普通に楽しく過ごせた。
たまたまT子と同じ私立行った別の子と行き合った時、
T子が高校で「クズ」って呼ばれてるのを知った。
パシリみたいになってたらしいけど、
私本当のことしか言ってないし後はシラネ。