高校生のときのクラスメイトに
Aちゃんという子がいた。
このAちゃんは、いつもは普通に
授業を受けていたのだけれど、
三年の秋ごろから
授業中に寝るようになった。
ときどき寝る、ではなく毎日毎日、
学校ついて席に着いた瞬間から
一時間目が終わって二時間目が
はじまるあたりまでずっと突っ伏して
寝てるかんじ。
席替えの次の日なんか、
前の自分の席(=今他人の席)で寝てた。
さすがに起こして移動させた。
受験にはそれなりに力を入れてる学校だか
ら当然Aちゃんも進学希望なはずなので
毎日遅くまで勉強してるのかなぁ、と思っていた。
そしてセンターも近づいてきた
冬の日の一時間目の数学の時間、
Aちゃんがいつもどおり寝ていると、
受験でストレスも溜まっていたんだろうか、
数学教師がとうとうきれた。
「ふっざけんじゃねえぞてめえええ!!!」
「いっつもいっつも寝やがってよおおおお!」
※数学はほとんど一時間目
「いいかげんにしろってんだ!!!!」
その怒りぶりにAちゃん(まだ寝てる)以外の
生徒は唖然。
数学の先生は口は若干悪いものの、
生徒にはフレンドリーなかんじで
あんなふうに怒鳴るなんて
一度も見たことがなかったからだ。
しかもAちゃんの机をがんがん蹴っている。
Aちゃんの席(廊下側)と
反対の窓側の席の私の席まで
震え上がるような声で怒鳴り続ける
先生に、ほかの生徒はどうすることも
できずにただ固まって見つめていた。
さすがに起きたAちゃんは先生の罵声
をじっと聞いていたが、
やがて、すーっと頭が前へ傾いた。
ま た 寝 た 。
あの大音量の罵詈雑言の中で
眠れるなんてどういう睡魔がついていのか知らないが、
結果的に先生は更にきれて机をまた
がんがん蹴りながら怒鳴り続けた。
結局それ以上は何も起こらず
やがて先生も落ち着き授業(というか自習)が
再開されたんだが、
長い学生生活であんなマジギレする
教師を見たのはあれが初めてだったと思う。
ちなみにあとで
「勉強も大事だけど、あんま夜遅くまで
勉強してると体調崩すよ?」
と言ったら
Aちゃんは
「ううん。勉強して眠いんじゃないの」といった。
じゃあなんで?と聞いたら
「家帰って、ご飯食べてお風呂入って、自分の部屋にいって、
ぼーっとしてたらいつの間にか午前二時になってる……」
と言っていた。
なんじゃそりゃあ……(‘A`)
ものすっっっごく内気な子だったから。
慣れてないうちだと
読書中の私に用事があって話しかけるのも、
私が気づくまでじっと
すぐ横で立ってたり、
混んでる購買で必要な物を買うことができなかったり。
「お弁当いっしょに食べよ」
が言えずに教室の入り口で弁当持って私と友達が
気づくまでじっと眺め続けたりとかそういうレベル。
コミュ力が要求される夜の
仕事なんてできないし本人が
やりたがらないと思う。