姪っ子が結婚したので思い出を書いていく

姪っ子が結婚した
誰も読みたかないだろうけど、思い出を書いていこうと思う

ちなみに俺37歳 未婚 
姪っ子(以下メイ) 23歳 
メイは兄夫婦の子供
兄とはだいぶ年が離れていて、11歳差
義姉も兄と同い年

俺が14歳の時に当時25歳の兄夫婦にメイが生まれた
当時、赤ん坊なんかうるさいだけだと思ってたバカ中坊だったが、
メイだけはとんでもなく可愛く思えたのが不思議だった

スポンサーリンク

父は頑固で無口、怒る時には手も同時な人だったが、
初孫となるメイには家族のだれも見たことがないような
デレデレ顔になって気持ち悪かったな
そんな父が自転車に子供用のイスをつけて
散歩に行けるようになるのをすごく楽しみにしていた

しかし大問題が
メイが父と俺にだけはなかなかなついてくれなかった
3歳ぐらいまでは父と俺の声が聞こえるだけでおびえて固まる、
不意に視界に入ると泣き出す、
抱っこしようとすると号泣して義姉か母に助けを求める有様
そんな時の父のさみしそうな顔は忘れられないが、
母曰く俺も父と同じような表情だったらしい
結局、父とメイの自転車散歩は実行されることはなかった

それから義姉の話だと、父と俺以外には老若男女関係なく
人懐っこい子供だったらしい
それを聞いて落ち込んだ

ともあれようやくなついてくれて、こっちもアホほど可愛がって遊んでた
で、メイが5歳の時、母とが義姉の母が相次いで病没した
それなりに愁嘆場だったが、メイにはまだよくわかってなかったのかな

その2年後、今度は父が病没
義姉の父はずいぶん以前に亡くなっていたので、メイは7歳にして祖父母を失った

その年の俺は何とか就職が決まって実家を離れていたし、
兄家族も実家から離れていたため相談の結果実家
(田舎で小さいながら一軒家だった)は売りに出し、
半年後には更地になっていた

実家が壊される時、兄家族と一緒に見に行ったのだが、
メイの「じいちゃんのオウチ、無くなるね」
て言って泣き出したのつられて俺もちょっと泣いた
そしてメイが11歳の時にその事故が起きた
兄家族の乗る車がトラックと衝突し兄は即死、
義姉は3日間意識不明のあと亡くなった
メイは奇跡的に打撲だけで済んだ

メイの親族は俺だけになった

当時、25歳の俺は事故の半年前に勤務先が倒産したため無職
多くはないが相続した遺産と貯めていた小金で日本一周なんぞをしていた

兄夫婦の死に絡み、いろいろなゴタゴタがあったが一番の問題はメイのことだった
無職の若造が引き取って育てるなんてことはできるはずもなく、
結局児童養護施設に預けられることになった
その後、父の知人から誘っていただき
零細運送会社の運転手の仕事を始めた
幸い、メイのいる施設とはそんなに遠くなかったので
できるだけ毎週会いに行くようにしていた

施設に入ってからのメイは、
やはり事故の精神的影響が大きく非常にふさぎがちだったらしい
それなのに俺が会いに行くとすごいうれしそうにしていた
だから少しでも励みなれたらと思ってこまめに会いに行くようにしていた

それが裏目に出るとは思いもしなかった

もうすぐメイが小学校卒業という時期に、施設から連絡があった
メイがいじめの対象になっているとのこと、その原因が俺にあるということだ

メイは俺と会った後はすごく元気になるらしく、
そのことが施設にいる他の子供、
特にリーダー格の年上の女の子から疎まれるようになったらしい
基本、この施設にいる子どもたちは保護者がいなかったり
虐待を受けたりで親や親族と会うことのない子供たちだ
そんな中メイにはいつも親族(俺)が会いに来て楽しそうにしている、
なんでお前だけが!となり、いじめの対象となった

施設職員と今後の話し合いをしたのだが、そ
の時に言われたのがメイと会う回数を極端に減らしてくれとのこと
他の子たちと差が出ないようにしたいとのことだったが、
俺にとっては残されたただ一人の大事な身内だ
とても了承しがたい
しかしその方がメイのためになるなら、
としぶしぶながら納得

そのことをメイにも伝えたんだ
そうしたらメイが突然泣き始めた
嗚咽しながらこんなようなことを言ったんだ
「マサトおじさん(俺)は私のことキライになったの?
お父さんもお母さんも誰もいなくなったのに、
マサトおじさんまでいなくなったら一人ぼっちになっちゃう
そんなの嫌だ、それにここにいるのもホントは嫌で嫌でたまらない」

会うときはいつもニコニコしていてわがままも
言わずにいたメイだったが、やっぱり相当無理をしていた
当然のことだが

11歳で突然に親を失ったメイが、たった一年で立ち直れるものか
ぐしゃぐしゃに泣きながら、
でもどこかで遠慮してるのかいつもならまとわりついて来るのに
この時は俺から少し離れたイスから決して近づいてこようとしなかった

そんなメイを見て、たまらず俺も泣いた
そして最近、空想程度に考えていたことを提案した
「おじさんと一緒に住むか?」
その時、再就職先での仕事も慣れてきたし、
まあぶっちゃけお金の問題については相続やら
兄の生命保険やらでどうにかなる見通しがあった
あ、保険金についてはもちろんメイが受取人だが
弁護士を挟んで俺が後見人となってて、
メイの養育費などとしてはある程度融通かきいた
遊んで暮らせる金じゃないが、なんとかなるかなと思ってたんだ

そしたらメイのやつ、

「いいの?マサトおじさんは私のこと邪魔じゃない?
嫌いじゃない?ほんとにいいの?」

なんて聞いてくるんだ
12歳のくせに気を遣いすぎなんだよ、このバカ
「当たり前だ!メイのことが嫌いなわけないだろ」
って思わず怒鳴った、泣きながら
あとは二人して泣いてた

思い出したらいまちょっと涙目
勢いでメイを引き取る決心をした、はいいが状況は全くよくない
最重要の金銭は先に言った通りなんとかなるが、まずは住むところ
6畳一間のボロアパート住まいで二人で暮らせるようなトコではない
そしてメイはあとひと月で中学生になる、
できればそれまでに新生活を始めさせてやりたいが時間がない
もうバタバタだった

そんな時に社長という名の救いの神はいた

再就職や身元保証人になってもらったりと何かと世話になっているK社長
今回のことも相談すると、翌日には新居を紹介してくれた
社長の知り合いの不動産屋に探させたらしい
2DKの文化住宅、しかも社長宅のすぐ近く

「なにかあったら俺(社長)の嫁さんにメイのことを頼め、
お前だけでできることなんかたいしてないからな」

ありがたくて最敬礼した
K社長は当時48歳、無駄に男気あふれるいかにも現場の親方
奥さんと22歳と18歳の娘さんがいた
社長は俺の事情を以前から知っていたが、奥さんたちにはこの時初めて説明した
みんな泣いてくれた、その後でなんでもっと早く言わなかったの!って奥さんに怒られた
俺はもうほんとに社長家族には感謝しかなかった
そこからは本当にどたばたで書類がどうじゃの役所が
こうじゃのとややこしい話のオンパレードだった
そして入学式には間に合わなかったが、4月中旬から新生活が始まった

まあ、最初の内は本当にぎこちない生活だったと思う
お互いにへんな遠慮というか、距離感がつかめないというか
それでもメイが笑って、学校の話をしたり、
社長娘と遊びに行ったりしたことを楽しそうに話すのを見て、
本当にこうしてよかったと思った

同居を始めてしばらくしたある夜、メイが寝ている部屋で悲鳴が聞こえた
部屋に行くと震えながら泣いているメイがいた
落ち着くのを待って話を聞くと、あの事故のことを夢で見たらしい
事故の瞬間のことはショックや気を失っていたことで憶えていないが、
唯一憶えていることが救出直後の母親と話したことだった
血まみれの母親がメイを呼び、
「よかった、よかった、メイが無事で、よかった、お父さんは?」
メイはよくわからないまま答えた
「お父さん元気だよ、大丈夫だよ、お母さん、お母さん!」
ただ、もうそれに母親は答えず意識を失い、
メイもそういう会話をしたことだけしか憶えていないそうだ

その場面を夢に見た、
しかもこれまでも月に2~3回は見てどうしようもなくこわいらしい
俺の腕にしがみついて、泣きながらその話をしてくれた
話を聞きながら、何もしてやれないことがどうしようもなくつらかった
その日はメイが落ち着いたあと、ぐっすり眠るまでとなりいてやることしかできなかった

どう考えたってトラウマになるよな

その後も、たまに同じようなことがあり俺がメイの部屋でそばにいてやったり、
逆にメイが俺の寝ている横に来て丸くなってることもあった
少なくとも、そうすることで安心できてたのなら良かったと思う

よし、あとは悲劇惨劇ツライサミシイはないぞ 多分

社長家族にはもう世話になりまくりだった
奥さんには食事の世話をしてもらったり、メイに家事を教えてもらったり
二人の娘さんには妹同然に可愛がってもらってよく一緒に遊び行ったりしてた

中1の時の体育祭、平日だってのに俺はむりやり有給取らされてなぜか社長一家とメイの応援に
行くなんて一言も言ってなかったから無茶苦茶びっくりしてたな
社長が馬鹿でかいだみ声で応援して、途中で裏声になって周りが大爆笑
帰ってからメイがなんて恥ずかしいことすんのよ、ばかって笑ってたのを良く覚えてる

あと、初潮が来た時の俺のオロオロッぷり
ある時トイレに入ったらトイレの床が血まみれでメイがいない
なんじゃこりゃ!と思って慌てふためいて、とりあえず社長の家に行ったら男は出てけって奥さんと娘さんたちに追い出された
あとになってその時の俺の様子をネタに今も茶化されてるよ
奥さんに教わって徐々にメイが料理をするようになった
中2の秋だったかな

突然、クリームシチューを市販のルーではなく手作りで作ることに凝り始めた
奥さんも作り方は知らなかったが協力していろいろやっていた
できたシチューは十分うまい物だったがメイはなぜか納得しない
さすがに毎週シチューが続くとなんでだ?と聞いてみたが、理由は教えてくれなかった

そんな話を奥さんとしゃべってたら実は、と教えてくれた
母親の得意料理がクリームシチューだったのだ
何年も前のことだから、作り方も味もよく憶えていない、けれど何とか作ってみたい

健気だね、この娘っ子はほんとに
だからしばらくシチューは続いたが文句言わずに食べてた
ある日に作ったシチューは自信作というか、記憶にあるシチューの味に近かったんだろうな
「どう、おいしい?どう?」
てしつこく聞いてくる
もちろんうまかったのでそう答えたら、妙にうれしそうにしてたからついポロっと聞いた
「お母さんのシチューができたか?」って

そしたらメイのやつ、硬直してなんか泣きそうな顔になったんだ
おもわず俺の方がおろおろしたな、あの時は
なんで知ってるの?ってメイに聞かれて、
奥さんから聞いたことを話して思い出の味だろ良かったなって行ったんだよ
そしたらなんて行ったと思う?

「ごめんなさい」
だよ
なにがごめんなさいなんだ?って思うよな、さらに
「ごめんなさい、マサトおじさんがいるのに、お母さんのことなんか思い出そうとして」
だよ

スポンサーリンク

まったくメイのバカたれが
メイの言うことによると、俺に世話になりまくってるのに
今更両親のことを引っ張り出すようなことをしたら、
俺が嫌がるんじゃないかって思ったらしい
いやいや、そんなこと思うならシチュー食わすなよ
と言うか俺がそんな風に考えると思ってたのか!
なんかそんな感じで無性に腹立たしくなって、哀しくなったな
だからこう言った

「メイがお父さんやお母さんのことを憶えていてあげなきゃどうする?
 なんでそこで俺に遠慮するんだ?
 俺がそんなことでメイのことを追いだすとでも思ってるのか、俺をバカにすんな
 遠慮なんかすんな、バカ、もっとお父さんやお母さんのことを教えろ
 俺の兄貴と義姉さんでもあるんだぞ」

こんなようなことを言った、と思う
多分、同居を始めてから初めて怒鳴ったと思う
で、メイ泣きながら謝る
俺、謝んなって言いながら泣きそう

その後、シチューは定番になりました
シチューの件を思い出すとちょっと今でも切なくなるな

ちなみにそれ以前はメイが自分から両親の思い出なんかを話すことはなかった
ずっと遠慮していたんだと思う
でもそれ以降はそんなことはなく、よく話してくれるようになった
それ以降は特に大きな出来事もなく高校進学

メイ16歳高2、俺30歳の年、マサトのおっさんにある出来事が起こる

なんとマサトのおっさんに彼女ができる
おっさんにとっては10年ぶりのカノジョである
期待に添えなくて悪いが、社長の娘さんたちではない

付き合う前に俺の家庭の事情については話していたし、
付き合いだしてから何度か家に招待してメイと一緒に食事したりもした
ミキ(彼女仮名)とメイも仲良くなってなんか電話とかメールをしたりもしていたらしい

交際は1年ほど続き、本気で結婚を考えた
メイにもそう考えていることを話し、賛成してくれた
ある時なんぞ、メイの方から社長娘と土日は遊んでくるから、
マサトおじさんもミキさんとデートしてきたら?なんて言いやがったこともあった

そんな有頂天なある日、ミキから恐ろしい質問が
「私とメイちゃんのどっちが大事なの?」

冗談混じりの問いかけなら良かったかもしれない
だけどあいにく、ごく真面目な問いかけだったようだ
なにこの腐ったドラマみたいな展開?
なんでそんなこと聞く?
なんで?

どうもマサトのおっさんは土壇場に弱いというかオロオロしてしまう
あの時はほんとに思考がショートしたかと思ったよ

選べるわけないだろ

頭の中で呟いたつもりが声に出てたらしい、しかもはっきりと

「うん、そうよね」
とミキは答えて、その後はなんでもないようにデートを続けた
そのデートから二日後、電話で破局を切り出されて終わった
やっぱ俺がメイにかまいすぎてるように思えて、我慢できなくなったんだと
うん、逆の立場なら俺もそう思うわな
理解できるし、なんか俺もあの問いかけをされてから
急速に冷めたのがわかったからあっさりしたもんだった

ところがあっさりしなかったの姪っ子なわけだ
まあ妙に勘がいいというのか、やっぱ女だからか、
俺がミキと別れた、俺もミキもお互いのことが好きでなくなったから
なんて言い訳を信じない

やっぱり、どこかで自分が俺の足を引っ張ってるみたいな負い目を感じてたのかね
本当の理由は死んでも教えるつもりはないから押し切ったけど、のちにばれる
なぜならメイがミキに電話して直接尋ねやがったから
どんな内容の話だったか詳しくは分からないが、
ミキにとってメイを大事にする俺に耐えられなかった的なことらしい
メイ、勝手に追及して撃沈
高3女子に泣きながら私のせいでごめんなさいとか
謝られて俺にどうしろと?
泣き虫なのは大きくなっても変わらないなあ、
と妙にさばさばしていたのは憶えている

とりあえず久しぶりに頭をなでてやりながら、
何もかもひっくるめてメイのことを引き取ってるんだから気にすんなって言ってやった
それ以降、なにも言ってこなくなったがあいつのことだからまだ気にしてるだろうな
いやあ、なんかね、女心のわからんおっさんの自爆話になって申し訳ない
なんか改めて俺の恋愛スキルのなさに泣けるぜ

話を戻してっと

メイは高卒後の進路について、看護学校に行きたいと言い出した
この頃には遺産や保険金があるから進学するにせよなんにせよ、
お金の心配と遠慮はするという話はしていた
その上で、自分がやりたいと思うことがあるなら行けばいいと思っていた

無事に看護学校に進学した頃、なんというかどういうか、ついにあれが来た
「彼氏、紹介したいの」

キタ、キタヨ、おいおい、おれどうしたらいいの
まあメイもハタチになった
彼氏の一人もいるだろう
なんかニヤニヤしながら携帯手にしてわざわざ外にでて電話をしてるのも知ってる
カベ薄いからな、うちは!

しかし、しかしだ、直に会うとなったら話は別だろう~~~

いかん、当時を思い出して動揺してきた
紹介された彼氏、22歳の大学生
ぶっちゃけイケメンではないが、なんと言うか人が良さそうなやさしい顔つき
ただし柔道をしているとかで体格はいい
体重70㎏の柔道選手って無茶苦茶いい体してんなった思ったわ

なんだな、さみしい限りだが、お似合いの二人だなって思った
3人でビール飲んで、なんか途中から社長と奥さんが乱入してきた
酒盛りになったが、俺はうれしかった
メイも彼氏も社長夫妻も楽しそうだったしな
その後もメイと彼氏は交際を続けてた
メイは卒業してある病院に勤務、住まいもその病院の寮に移った
彼氏も無事に就職した

そして去年の春、家に彼氏を連れてメイが帰ってきた
「私たち、結婚します」
だとよ
もうなんか彼氏がメイの尻に敷かれてやんの

それでもタカシくん(彼氏仮名)、顔真っ赤にしながら俺に
「かならずメイを幸せにします。おとうさん、娘さんを僕にください」だってさ

なんかね、もう俺むっつりしたままいるつもりだったのにね、泣いてんの
そのくせにね、バカなこと言ってんだよ
「俺はメイのお父さんじゃないよ、叔父だよ
 ご両親にはちゃんと別にいるんだから」
いやほんとバカだな、わざわざ言わなくてもね
案の定、メイのやつ怒ったな
なんでわざわざそんなことの言うのって
「私にとってマサトおじさんはもう一人のお父さんなの。
私には二人お父さんがいるの。
タカシにもうそう説明してるんだからこれでいいの」

おとうさん だってよ
この時、初めて呼ばれたな
て言うか呼ばさなかったんだよ、兄貴と義姉さんに悪いしさ、
メイにはちゃんと両親がいたんだってこと忘れないでほしかったからさ
もう俺、絶句して泣いた

書いてる今も思い出して涙出てきた、やばい
なんかタカシくんも泣きだしてね、もちろんメイも泣いてる
もう俺も含めて最初の堅苦しい空気はどこ行ったって感じでね
うん、幸せだなあってバカみたいに思ってたわ

後日、社長に報告しに行ったら、社長も奥さんも我が事のように喜んでくれてね
なんていい人たちなんだろう

ああ、気になっている人のために娘さんたちはこの時点で二人とも結婚済み
長女には3歳の男の子がいる
そうそう、婚約した祝いにってことで俺とメイとタカシくん、
社長夫妻に長女一家次女夫妻の大所帯で一泊旅行にも行ったんだ
もう社長一家は親族みたいなもんだしね
体育会系の社長、タカシくん、次女旦那の3人は意気投合して酔いつぶれて大変だったな
奥さん娘さんたちはメイと長女息子を囲んでめちゃくちゃ盛り上がってた
俺と長女旦那はなぜか二人でしんみりと酒飲んでた
最後はみんなが俺のことお父さんお父さん呼んで囃したてやがってさ
うん、楽しかったよなあ
おっさんの長話、ごめんよ
もうすぐ終わる

先週、結婚式だったんだよ
レストランウエディングってやつ
それでもどっかから神父呼んでバージンロードみたいなのわざわざ作ってさ
メイの手を引いて歩くんだよ
涙こらえるの大変だった
きれいになったよ、メイのやつ

式と言うか披露宴もさ、メイとタカシくんの友達や社長娘さんたちが
張り切っていろいろ準備してくれた手作りでね
和気あいあいって感じだった
タカシくんの御両親もざっくばらんな方たちでね
素晴らしい娘さんを育てられましたね、って言ってくれたよ

宴もたけなわってとこでさ、あれだよ、新婦からのお手紙だよ
新郎新婦がさ、まずは友達のところへ行って素敵な式をありがとうってやって
次に娘さんたちのテーブルへ

「長女姉ちゃん、次女姉ちゃん、お姉ちゃんたちのおかげで
私はどれだけ助けられたでしょう
 二人とも大好きな、本当のお姉ちゃんたちです」

ってさ、かなり省略したけど、でもって抱き合って泣いてたよ
タカシくんもそれみて泣いてた、なかなか涙もろい奴だよ彼も
俺も泣いてたけどな
次が社長夫妻のところ
社長ももう泣いてる、奥さんはニコニコしてた
「Kおじさん、今まで本当にありがとう 
おじさんが助けてくれなかったら私は今ここにいることはできませんでした
 Kおじさんは、大好きなもう一人の本当のおじいちゃんです
 Yおばさん、おばさんにはいろいろなことを教えてもらいました おばさんの料理、今でも大好きです
 Yおばさんは、大好きなもう一人の本当のおばあちゃんです」
これもかなり省略してるけど、社長号泣
奥さんは「ずいぶん大きな孫娘だわ」って笑ってた
式には、兄夫婦とメイが一緒に写った最後の写真とウチの両親、
義姉の両親の遺影も用意してたんだ
その写真に向かって

「お父さん、お母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、私、大人になったよ
 会えないのはさみしいけど、今、私は幸せです
 ずっと見守ってくださいね」

で、最後が俺だよ
俺もうすでに泣きすぎて、立っててもなんかプルプル震えてたと思う

「マサトお父さん、お父さんが12歳の私を引き取ってくれた時、
私がどれほどうれしかったと思いますか
 お父さんは私のためにたくさんのことを捨てなければならなかったのではないでしょうか
 それでもお父さんは、一度も投げ出すことなく私を育ててくれました
 私をほめてくれました
 私を叱ってくれました
 私のために泣いてくれました
 私はとても幸福です
 私を育ててくれてありがとう
 私を愛してくれてありがとう 
 マサトお父さんは、ずっとお父さんとは呼ばせてくれませんでしたね
 でももう、これからはお父さんとしか呼びませんからね
 ありがとうマサトお父さん、大好きです」

だってさ
最後の俺への手紙、実際にはもう号泣しながらだからちゃんと読めてなかった
書き込んだのは今、その手紙を見ながらだよ
すまん、かなり泣きながら書いてる

メイには絶対言えない話だけど
正直、ちゃんと育てられる自信なんかなかった
兄貴たちが事故にあうまで、仕事もせずにぶらぶらしてたお気楽次男坊だった
いつも、どうやってメイに接したらいいのかって悩んでたよ
26歳が突然12歳を引き取るんだ、ちょっとあり得ない話だ
でも奇跡的にあんないい子に育ってくれた
K社長に巡り合えたことは俺にもメイにも素晴らしい結果をもたらしてくれた
どれだけ感謝しても足りない

今日の夕方、娘夫婦が新婚旅行から帰って来る
明日は兄貴夫婦の墓前にみんなで報告にいってくるよ

さあ次の問題は、俺の嫁取りか!まさか娘に先を越されるとはな!
がんばるぜ37歳独身23歳娘有り!

ここまで付き合ってくれた方、ありがとうございます
へたなドラマみたいな話ですが、セリフの正確性を除けばおおむね実話です

スポンサーリンク