20数年前、当時まだ20代前半の独身でOLやってた。
新しく異動してきた上司が
当時うちの会社では珍しい女性所長だったんだけど
色んな意味で注目されてたのもあって
気張り過ぎてたようで、
とにかく女性社員に対して厳しかった。
その上司が着任した当日、母が急に倒れて
病院に付き添った為に会社への連絡が遅れ
始業時間を15分ほど過ぎてから遅刻しますって
電話を入れたんだ。
それがこの上司の逆鱗に触れた。
いい年をしてママ・ママって甘えんな、
会社員は会社優先!みたいな説教をされた。
係長が横で聞いてて
「私子さんは母一人子一人だから、
お母様が倒れられたら私子さんが病院に連れて行くのは
仕方のないことですよ」ってフォローしてくれた。
それが余計に火に油を注ぐ結果になった。
男は若い女性社員には甘い!
私が来たからにはそういうことは許しません!
って感じ。
本当に絵に描いたようなヒステリックな上司だった。
最初にそんなふうだったから完全に嫌われてしまって、
その後は今で言うパワハラを
毎日受け続けて鬱になりそうだった。
なんとか踏みこたえていたのは、
母に心配を掛けたくないという一念だった。
だけど“その日”は会社に向かう通勤途中で
(マイカー通勤だった)、
前日に怒鳴られた上司の声が耳から離れなくて、
どうしても出社したくない気持ちになって
もうダメだと思って一旦家に帰ろうと路地を左折した。
左折して200mか300mか走った時に
後方から爆音が聞こえた。
すごく大きい音だったけど、
私の頭の中はそれどころじゃなかったので
そのまま走って
ファミレスで気持ちを落ち着けてから帰宅したら、
自宅療養中だった母が私の顔を見た途端に号泣。
私が聞いた爆音は
橋げた落下事故(広島の)の音だったんだ。
生まれて初めて腰が抜けた。
あのまま左折しなかったらしんでたかも知れない。
この一件があって、人生なんて
いつプツンと終わってしまうか分からないと思うと
あんな上司にびくびくしながら
この一瞬を生きるのがアホらしくなって、
母に全てを話して退職を決めた。
母には「隠し事はするな」とこっぴどく叱られた。
その後、専門学校に通い今の夫と知り合って結婚。
夫婦で店をオープンすることを目標に
頑張って働いているところ。
私もその日から運命って信じるようになった。
だって、その日に限って午後出勤だったんだ。
普段だったらとっくに会社で仕事してる時間なんだけど
前日になんだったか忘れたけどトラブルがあって
0時過ぎまで残業になった。
それで翌日(事故当日)は休もうと思ったんだけど
上司が3時からのミーティングだけでも出ろ
みたいに言われて。
だからいつもだったら絶対通らない時間だったんだよね。
いつもと違うことで偶然事故に遭遇するはずだったのが
いつもと違う感情で左折したことで免れたってわけ。
事故のニュースを聞いた時、
あんなに膝が爆笑したのは生まれて始めただったわ。
そのあとガクッと腰が抜けて立てなくなった。
多分今後の人生で何があっても
あの時の恐怖に勝るものはないと思う。