最後の願いは、聞いてくれなかった

妻には、ずっとお願いや頼み事ばっかしてた。
17の頃バイト先で嫁と知り合って、嫁が19で当時
もう高嶺の花なんて言葉知らなかった俺は、彼女に告白玉砕
それで、1ヶ月ぐらいしてまた告白撃沈

1週間後ぐらいに、もう頼みこむように告白そしてOKがでた。
それで、普通のお付き合いして、彼女初めてキスする時も、
「キスしていいですか?」
ってお願いするぐらい。へぼい俺

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それで、彼女が大学4年で俺が建築の専門2年だったから、
同じ年に社会人になって
そこのバイト先を二人でやめてさー
社会人になってお互い会う時間がなく彼女から別れ話が出てさー
けど、泣きながら俺は、「別れたくない」ってお願いしてさー
そんな感じで1年ぐらいたって、一緒に住もうって俺から言ってさー
もう俺の性格わかってるから、「いいよ」っていってくれなくて
正直家事とかそういうの面倒やなーって軽い気持ちで言ったのもあって
「いいよ」って言ってくれなくて、けど真剣にお願いして同居する事になって
で半年ぐらいたって俺が、「犬ほしい」って言ってけど彼女は、「面倒みるの私でしょ?」
って言うんだよ。「俺が、面倒見るって」って言い続けて、なんとか子犬を
飼う事になった。
けど、結果的に彼女が犬の世話してた。

そんなある日さー
子猫が迷い込んできて、かわいそうだったから
「この猫うちで飼わないか?」
って彼女に相談したら、「バカ」って言ってどっかに電話してさー
大家さんに電話しててうちのマンションは、動物1匹しか飼えないんだけど
彼女が大家さんを説得してくれて、飼う事ができた。
そんな生活が続いて、彼女に「結婚しよう」
って婚約指輪渡してさ言ったら
見事に玉砕

それから1ヶ月ぐらいして、婚約指輪をもう1個買ってきて
「結婚してくれませんか?」って言ったら、やっぱりノーだった
それで、「婚約指輪を2個渡す奴は、いない」って言ってお願い
したら、「しょうがないねー」って言って結婚した。

それで子供ができて、かわいい女の子が生まれて、おれは、男の子がほしくて
嫁にその話してさーあんまり2人目が乗る気じゃなかったが
2年後に男の子が産まれて
もうにぎやかな家庭だった、
俺は、相変わらず、嫁に「リモコンとって」
「お湯沸かしておいて」ってお願い
する始末

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そんなある夜も、お願いして仕事の帰りに夜、
「雨が降ってるから向かいにきて」って
軽い気持ちでお願いしたんだ。
嫁も「ホントにもーいつものとこでしょ?」とか言ってたんだが
1時間たっても、むかいにこないんだ、携帯鳴らしても、出ないし
しかたなくタクシーで帰る事にして、そしたら事故現場があったがおれは、大変だなー
ぐらいにしか思ってなくて、家について着替え終ったぐらいに電話があって
嫁が引かれたって警察から電話あってさあの時の事故かーって頭がよぎって
持つもの持たずに家出たが、
車がないって事にきずいてタクシーで嫁がいつも止めてる
パーキングにいったらあってさー
すぐに病院にかけつけたよ。その間子供達は、
おれの親父とお袋にお願いしてて
病院にむかうようにしてさー
もう何がなだかわからんかった

そうしたら、危篤状態の嫁がいてさー
もう泣きながら、お願いしたよ
「目あけて笑ってください」って
けど最後の願いは、聞いてくれなかったよ。
嫁を引いた奴が若いにいちゃんでさって言ってもおれより2、3つ下ぐらいで
酒臭い声で言うんだ「雨でライトが反射して見えなかった」って
普段おれは、ぜんぜん怒らない人間でさー
ケンカのケの字も知らん人間でさー
失敗した後輩とかも怒らんぐらいのんびり屋というかノーテンキでさ。
怒ったとこで、失敗は、戻らんってよく後輩に言うぐらい
の人間だったけど
さすがにむなぐら掴んで、手をグーにしてたけど、
こいつ殴ったとこで嫁は、戻らん
って思ってやめた。

それで葬式があって、葬式が終って嫁の義父さんと
義母さんが「子供達引き取りたい」って
いうんだ。
おれは、小さい声で「俺が育てます」って自信なさげに言ったらさ
次の瞬間2mぐらい吹っ飛んでた。
義父が怒鳴り声で「男なら自信がなくてもいいからでかい声でいうもんだろ」
っていってさー嫁の遺骨もって帰ったんだ。
その日の夜は、眠れなかった。
顔がいたいよりさー心が痛いんだ。
娘は、無邪気に笑ってさー笑った顔が嫁そっくりで
顔の腫れがまだひいてなかったけど、2,3発もらう覚悟で嫁の遺骨返して
もらいに義父の元に行って案の定1発もらった。
けどおれは、ひるまなかった。そしたら義母が「○○○をおれにあげたんでしょ?」
って義父に言っておれに遺骨渡してくれたんだ。
そしたら義父が「おれと1杯付き合え」っていうんだ。
一人娘をおれみたいなへっぽこにとられたって言うんだ。
けど、義父「キミのやさしさに娘がほれた」って言うんだ。
猫の事や1回も怒ったとこ見たことないってよく言ってたらしい
その挽は、義父が娘として愛して、おれは、彼女として妻として愛して
その事を一晩中話した。
今は、娘が5歳で息子が3歳
下の子が17になったら、俺が彼女と知り合った年かー
それで、上の娘は、嫁さんと同じ年かーって思いながら

今は、子育てに奮闘中
息子は、本当におれそっくりだ。娘にお願いばっかしてる。
娘も、文句いいながら、そのお願い聞いてる。
嫁をひいた彼の事は、もうどうでもいい
怒ったり憎んだりしたとこで嫁は、帰ってこないし。
その分子供たちに愛情を注ぐよ。
そんな自分に妻は、惚れたと思ってる。

さて子供達と飯でも作るかな

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