中学の時、実際にあった話。
ちいさい頃、うちの家の近くに
ツタの絡まる古い洋館があった。
なにもない田舎の風景に、
ポツンと建つその洋館が違和感ありまくりで、
かなり不気味だった。
当時、仲のよかった友人3人と駄菓子屋に寄った帰り、
その洋館の前を通った。大工のせがれだったキヨミチは
「この家、うちの親父がつくったんぞ!」
と自慢しだした。
レンガ作りの物珍しさで村一番の話題の家だったそうだが、
年月がたつにつれいわく付きの建物として有名になった。
何度も続くボヤ騒ぎ、赤レンガは黒いシミに覆われ、
建物の周りでカラスがねじれて死んでいるのが
発見された事もあったとか。
キヨミチ「小学校の美術室に白う●こあるじゃん、
ここの家の人が学校に贈ったんだよ」
白う●ことは、石膏で作られた女性像なんだが、
流線型のポーズが遠目からみると巨大なうんこに見えるので、
みんな白う●こと呼んでいた。
懐かしの白う●こで盛り上がり、
古洋館のフロアに白う●こが残ってるという話になり、
見に行こうという事になった。
窓から覗くと…白う●こ4本、真ん中に、
ちいさな白う●こ1本。女性像4体が子供像を囲んでいた。
キヨミチとトキオはゲラゲラ笑っていた。
…が、俺には不気味で恐ろしかった。
石膏で作られた子供の像は、
ところどころ黒く変色し、膝から壊れて足がなかった。
柱が支えになって立っていたが、
俺には鉄柱に串刺しになって
拷問を受けている様にしか見えなかった。
キヨミチ「もっとあるかもしれない、中入ってみようぜw」
トキオ「入れるの?鍵かかってるんじゃない?」
キヨミチ「裏口の扉腐って開きっぱなしになってるから
そこから入れる!行こうぜw」
冗談じゃない!!…と思ったが、
二人のおかしなテンションに負け、中に入ることになった。
塀に囲まれ雑草が伸び放題の中を進んで行くと裏口に着いた。
足元がやたらぬかるんでいた。フッ…と生暖かい空気が流れた、
と、同時に生臭さが周りを包んだ。
キヨミチ「クッサ…ゆで玉子が腐ったみたいな」
トキオ「屁だろこれww屁こくなやキヨミチwwww」
キヨミチ「こいてないわww」
裏口に着いた。扉は半壊し腐って朽ちていた。
蝶番がかろうじて木片を繋ぎ止めてはいたが、
扉とは呼べない状態だった。
中を覗き見ると、意外と綺麗な状態。
植物に侵食されている様子もなかった。
ただ、床は変色し、奥に行くにつれその色は濃くなっていった。
キヨミチ「けっこう広いな」
トキオ「秘密基地に使えるよな!」
キヨミチ「俺この部屋もらうわww」
トキオ「おお!ベッド!!いいなーw」
我が物顔で屋敷の中を歩きまわる二人。
そんな中、俺はさっきの子供の像が気になっていた。
怖いもの見たさ、好奇心がそうさせたのだろうか、
どうしても近くで見ておきたかった。
吹き抜けのフロアに出ると、
さっき窓から覗いた場所に着いた。
4体の女性像と、1体の子供の像。思っていたより大きい…
子供を囲む女性像はそれぞれ流線型のポーズをとり、
直立する子供を守るように囲んでいた。
子供の像を目の前にした俺は、本当に…後悔した。
これ、石膏じゃない…。
石膏だと思っていたのは包帯だった。
全身を包帯で巻かれ、
ボロボロの服を着た子供が鉄柱に串刺しにされ立っていた。
コーーー…っ…ホーーー…っ…
コーーー…っ…ホーーー…
生臭い…においが…
え?呼吸?…まだ生きてるの!?
た…たすけなきゃ……!!!!
そのときっ!!!
馬鹿二人がフロアにやって来た!!
キヨミチ・トキオ「白う●こ発見!!キーーーーック!!!!」
ドカドカッ!!!!ドンガラガッシャーーーーん!!
ドミノ倒しになった白う●こ像…の下敷きになる子供。
おぎいいいいいいいいいい!!!!!!!!!
ああああ大丈夫?大丈夫なのか??
あ、息してないわwうわあああああ!!息してないよ!!!!!
死んだ!!!今死んだwwwww
こいつらが、とどめ刺しやがったあああああ!!!!!
いやああああああああああああああああああ!!!!!!
…。
で、ここからあまり記憶がはっきりしない。
警察官呼んで、警察来て、事情聴取されて…
と、あいまい。
警察が来て子供の遺体は回収された。
俺たちは散々怒られたが、おとがめなしで帰された。
当時の新聞にも載り、第一発見者の俺は人気者になった。
古い洋館は市が取り壊し、今はセカンドストリートが建ってる。
あの出来事から27年。同窓会で久々にキヨミチ・トキオに会う。
そろそろ話してもいい頃合いだと思うので、
今まで警察にも黙っていた事を話そうと思う。
当時新聞の記事
「少年の遺体発見され…足が切断され…亡くなって間がないことから…
犯人は近隣に潜んでいる可能性…」
会ってちゃんと話そうと思う。
あれ、お前らが殺したんだよって。
最後に
福井に住んでる人なら覚えてる人いるかも知れない。
実際、新聞にも載ったから。
もし当時の新聞見付けたら譲ってください。お願いします。
でわ。