元夫は震える手で離婚届にサインした。私の幸せな将来を 邪魔する存在にしか見えなかった

元夫は優しい人だった
夕食を食べながらいつも
さりげなく「美味い」
弁当を作った日は「ありがと」
と言って出勤して行った

休日の買い物はいつも付き合ってくれて
荷物も当然のように持ってくれた

私が仕事で遅くなり元夫が先に帰った日は
風呂の用意を済ませ
料理までは出来なかったけど
直ぐに料理が出来る様に準備していてくれた

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皿洗いも時々してくれた。
ゴミ出し当番もやってくれた
結婚記念日や誕生日には
他愛の無いものとは言え
必ず何かを買って帰って来てくれた
お金も全部私に任せてくれた

私は当然の事だと
何の感情も抱かなかった。
完全に感覚が麻痺していた
私はそんな優しい元夫を
こっぴどく裏切った

パート先の、男らしく頼りがいのある
独身の社員と意気投合して恋をした

運命の人に出会った。
元夫との結婚は誤りだったと
信じて疑わなかった
彼と食事やデートを頻繁にするようになった

私は元夫のことを良く思っていなかった
亭主関白な父親の言葉を利用して
元夫に冷たく当たり
悪口を言いふらし周りを味方につけた

元夫は離婚届にサインする直前まで
私を引き止めようとしていた

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その時、ただただ私の幸せな将来を
邪魔する存在にしか見えなかった
私はそこでも暴言を吐き、
元夫は観念して震える手でサインした
それでも元夫は慰謝料も何も要求しなかった

私は全てを捨てて自由の身になり
彼の元へ走った
でも幸せだと思ったのは
付き合っている時だけだった

いざ同棲して見ると家のことは何もしない、
何の気遣いもしない、
自分の遊びを優先する、文句を言うと怒鳴る、
横柄で、ぐうたらで、金遣いの荒い人間だった。
冷めた

同棲を解消しパートも辞めて実家に逃げ帰った

あれから何人か男と付き合ったけど
長続きしなかった
元夫との何気ないと思っていた生活が
どんなに幸せだったかを思い知らされる
元夫の話題が出て悪く言われる度に心が痛んだ

100%無理だと分かっていても
慎ましく生きていればいつか
元夫と寄りを戻せると思いながら
数年が過ぎた

ある日、母に頼まれ
ショッピングモールに一人で買出しに行った
買い物を済ませ、
荷物を抱えて駐車場を歩いている時に
紛れもない前夫の車が
止まっていることに気付いた

凄く懐かしい気持ちになり
思わず近づいて見る
後部座席にチャイルドシートと
熊のぬいぐるみがあった

気が付くと私は車に戻って泣いていた
もう二度と幸せな生活は戻って来ない

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