プチお見合いっていうのかな?
知り合いの世話好きの奥さんから、
「紹介したい女性がいるから食事でも」と
自宅に招かれたから行ってみたら、
8年前に別れた元嫁がいたよ。
即効で帰った。
元嫁も俺だと知らされてなかったみたいで
びっくりしていたけど
夜になって、奥さんも全く知らなかったって、
後で夫婦揃って謝罪に来たよ。
軽く食事でもっていう程度のものだったから、
事前に知らされていた情報も簡単なものだったし、
お互いが別人と思えるほど
以前と状況が異なっていたので、
互いに元嫁、元夫とは思いつくこともなかった。
元嫁と結婚していた時は、
建築会社の現場監督だったんだけど、
今は個人で設計事務所をしながら
小さいマンションのオーナーだし。
元嫁の情報は
「娘の大学時代の友だちで、
前の旦那に浮気とDVされて離婚した人だけど
とっても優しい人」
という触れ込みだった。
俺は浮気もDVもしなかったから、
元嫁のことなど思い浮かべるはずもなかった。
まあ、元嫁に捨てられたのは俺の方だったんだけどね。
離婚の理由は俺が仕事の移動中に
信号無視したトラックに突っ込まれて、大怪我したから
医者に、寝たきりになることも
視野に入れといてくださいとに言われたんだ
そしたら術後に、
元嫁が一緒にやっていく自信がないって、
離婚をつきつけられた。
医者は当分は車椅子生活になるが、
リハビリで日常生活に支障は出ないほど
回復する可能性もあるので
寝たきりになる可能性は低いと
説明もしてくれたんだけど。
元嫁は、離婚一筋になってて
医者の説明がまったく耳に入っていなかった
会社の上司や同僚も車いすになっても、
俺はCADができるから
内勤の仕事に移ってもらうから収入も安定しているし
なんなら在宅勤務でもかまわないと、
いろいろ説得にあたってくれたりもしたけどだめだった
俺の母親も土下座までして
思いとどまってほしいと頼んでくれたけど、
元嫁はお先真っ暗という思考になってしまっていて
全く話が通じなかった。
元嫁親は良識のある人だったから、
元嫁をかなり説得してくれたけど、
結局、元嫁は
「しばらく旅行に行きます。離婚したら帰ってきます」
という置手紙と記入済みの離婚届を残して出て行った。
元嫁両親が泣きながら
病室の床に頭をこすり付けて謝る姿は
今でも脳裏に焼きついているな…
俺もそのときは精神的におかしくなってたんだろうね。
後から母親に聞いた話だけど
俺は元嫁両親の土下座を見ながら、ずっと笑ってたって
俺もどうでもよくなって、
離婚届に記入して元嫁父に提出してもらった 。
元嫁父は、申し訳ないからって
後で300万ほど包んで持ってきてくれたけど、
その金は退院後部屋に残ってあった
元嫁の荷物と一緒に送り返した。
離婚後は元嫁に
「裏切られた、捨てられた」っていう悔しい思いから、
2回手術したけどリハビリもがんばって、
日常生活は支障の無いほどに回復できた。
仕事も復帰できて、仕事も内勤になった。
でも、事故と離婚、介護で
心労がたまっていた母親が脳溢血で倒れてしまった。
母親は治療のかいなく亡くなった
(父はとっくに他界している)
俺にとっては、この時が本当に最大の修羅場だった。
事故がにあわなければとも思ったけど、
何よりもあんな女と結婚しなければよかったと
元嫁に対する恨みが芽生えてた。
葬式も終わり一通り片付いてから、
会社を退社して実家のある街に戻ることにした。
それで今後どうするかな~と考えて、
事故でもらった慰謝料やトラックの会社の見舞金
労災でもらった金が結構な額だったので、
それを元手に、古い実家を壊して
軽量鉄骨のアパートを建てた。
設計や申請は自分でして、
建材は以前勤めた建築会社から格安で融通してもらった。
施工にあたっては、以前の会社から
孫請けに当たる建築会社で
腕のいい大工さんいるところにお願いした。
(ここの社長さんの奥さんが
プチお見合いをセッテイングした。)
結構出来のいいアパートができて、
完成後すぐに満室になった。
その後そのアパートを担保にして銀行からお金を借りて、
土地を買って同様のアパートを建て増していった
おかげさまで、運営もうまく行って、
さらに小ぶりのマンションを立てて
最上階を自分の住宅にした。
事故にあってから8年たっていた。
離婚後、お見合いの話や、お付き合いの話はあったけど、
元嫁との離婚のことがトラウマになっていたんだろうね。
女性と必要以上に親しくなることができなくて、
ここ3年ほどは、誰とも付き合わずいた。
でも今年に入って、急に人恋しくなって
やっぱり誰かと結婚したいな~と思っていたところに、
建築会社の社長の奥さんから、
重く考えなくていいからって感じで誘われて、
ノコノコ出向いて行ったら相手が元嫁だった。
謝罪に来た奥さんの話によると、
元嫁は俺と離婚した後、銀行マンと再婚したらしいが
その銀行マンがDVで浮気をする男だったらしい。
元嫁は俺が帰った後、泣きながら
「俺さんにはひどいことをした。
一番助けが必要な時に裏切って見捨ててしまった」
て言ってたらしく。
もう一度、会う機会を設けてほしい、
ちゃんと謝罪したいと言ってるそうだ。
でも離婚した時の、
悔しさと惨めさと怒りと悲しみと絶望感の入り混じった
訳の分からない感情が蘇ってしまって
自分を制御できそうになかったから、
社長と奥さんには、
「もう二度と思い出したくない過去だから会いたくない」
と伝えてほしいとお願いした。
あと奥さんには、
俺の住所や連絡先はもとより俺に関する情報は、
元嫁に今後一切伝えないでほしいこと
そして元嫁の情報も知りたくないことを
念押しして帰ってもらった。
ットで、彼氏が事故で障害者になって
恐くなって別れた女性の書き込みなども見たりしてたから
事故にあった当時は元嫁は25歳で、
突然の出来事で若い元嫁にしてみれば
受け入れられないことだったんだろうな~
って考えたりすることもあって、
今が比較的順調だし
この8年の間に恨みの気持ちも無くなったと思っていたけど
まだ恨んでたんだな~って思うと、
自分自身にもがっかりしてしまった。