昔「バラ色の珍生」って番組あったの覚えてる人いるかな。
当時高校生だった私、家族と一緒に見ていた。
依頼者は生まれて直ぐに親が離婚して、
父親は母親のことは殆ど話してくれないまま
病気で早くに亡くなり
育ててくれた祖母は母親のことを聞くと叱り、
それでも聞こうとすると泣くので聞くに聞けないまま
その年の前年に亡くなったらしい。
近々結婚することになってて、
どうしても実の母親に花嫁姿を見て欲しい、
実の母親に会いたい、そんな依頼だったと思う。
涙もろい母はいつものように早くもウルウルしてた。
ところがカーテンの向こうから出てきた女に家族全員絶句。
うちに引っ越してくる前、
賃貸マンションに住んでた頃の同じフロアに住んでた女で
マンション内で何度も何度もトラブルになってる
評判が悪いどころではない最悪の女だった。
そこの部屋からの悪臭が酷くて、
生ゴミとかベランダに指定袋がてんこもり。
定期的に周囲のお宅から苦情がきて、
揉めて揉めてやっと片付けさせてもすぐ元通り。
いつもボサボサのプリン頭に毛玉スウェット、
素足にクロックスと言ういでたちで
いかにもチンピラ風の男とギャンブル三昧で、
大負けしたときは廊下を大声で怒鳴りながら歩き
駐輪場の自転車を蹴り上げる。
私も目が合っただけで怒鳴り散らされたこともあった。
とにかく近所の人たちは
あそこは基地外だから関わるなと思われていた。
そして幼稚園ぐらいの子と小学生の子がいたけど、
あきらかなネグレクトでもあった。
当時でも児童相談所の人が時々来てたけど
罵声しか聞こえてこなかったし。
その女が珍しく髪も櫛をいれて纏め、
安っぽいながらもちゃんとした格好をして
しおらしく目元をハンカチで押さえていたけど、
どう見てもあの女。
家族全員お互いに目と目で
「あの女だよね」「そうだよね」って感じだった。
正直、依頼者の人生終わったなと思った。
結婚?大丈夫?って。
そのマンションには
中学の同級生だった子がまだ住んでたから
翌日電話して聞いてみたら、
やっぱり話題になってるって。
そして感じたことはみんな一緒だった。
さすがにその後どうなったかまで追跡はしなかったけど
テレビ局側もあの女を見つけた時点で
どういう女か分かりそうなものなのに
つくづくテレビ局って無責任だなぁと思った。