
2年程前の話です。
俺が大学進学で上京して一人暮らしのためアパートに引っ越した。
そしたらそのアパートの1階にすごく綺麗な女の人が暮らしていたんだ。
俺が引っ越してきた時からすごく愛想よくてさ。
向こうからにっこり笑って挨拶してくれたり、道でばったりあった時は
話しかけてくれて、雑談とかしてくれたんだよ。
俺はそれまであまり女の人と話したこともなかったから、
それがすごく嬉しくてさ、その人が外に出てるのを見掛けたら
俺もわざと出掛けたりして話したりしてたんだ。
でもいつも一人でいるし、
男の人が出入りしているところを見たことがないし、
もしかしたら彼氏いないのかな?こんなに綺麗なのになんでかな?って
ちょっと不思議に思ってた。
いや、このころはもう好きすぎて
「彼なんていないでくれ」
って祈ってたと思う。
ある日、意を決して
「彼氏さんとかいないんですか?」
って聞いてみたんだよ。
そしたらちょっとびっくりして、すごく意味深に笑って
「いないよ。どうして?」
って言われたんだ。
俺はもうどぎまぎしちゃって
DTまるだしで恥ずかしかったんだけど
「い、いえ、なんか彼氏さんとか男の人が遊びに来たとこ
みたことないなあと思って」
というのが精一杯だった。
そしたら
「私、男だから」
「へっ?」
「昔、男だったからなかなか難しいのよ」
と、さらっと言われたんだ。
もうなんて返したらいいかわからなくて固まってたら
「○くんだったら彼になってくれたら嬉しいけどね、じゃあまたね」
って帰ってしまった。
それからは顔を会わせても
何を言ったらいいかわからなくて、
あまり話しかけることもなくなってしまった。
むしろその人のことを避けるになっていた。
偶然あって話しかけられても前ほど積極的になれなくて
何を言っても地雷になりそうで、あたまがぐるぐるしてた。
そんな感じで数ヶ月ほど経ち、
もう何日もその人を見掛けていないことに気づいた。
その人の部屋の前まで行くと
人気もなく引っ越した後だったんだ。
でもいまになって、本気でその人のことが好きだったんだと気づいたんだ。
行き先もわからず、何をしていいかわからず、いまもDTのまま。
死にたい…