小学1年生になった息子が、物凄く持ち物をなくして帰ってくる。
鉛筆に始まり、筆箱までなくした。
本人に聞いても「いつの間にかなくなっている」としか言わない。
なぜそんな大物なくして気付かないのか、
もしかして何か障害があるのか?と、
ちょっと変なスイッチが入った私は
市販の筆箱を改造し、GPSの小さいのを隠して入れた。
またなくして帰ってきたら、どこに置いてきたのか
一緒に探して息子に気を付けるように言おうと思っただけでした。
そしてすぐにその日はやってきた。
息子が筆箱がなくなったとションボリして帰ってきたので、GPSで検索。
なんか有り得ない場所にある。
学校ではなく誰かの家。
迷ったが、息子には学校に有るだろうから
お母さんが探してくると言って、担任に相談しに行った。
担任は私の話を聞くと、この噺は内密に、
逆恨みされると子供に危害が及ぶかもしれないのでと言い、
そのお宅に家庭訪問しに行った。
私は帰宅し、息子には先生と探したがなかったと報告し、
私が使おうと買っておいた象が乗っても大丈夫な筆箱を息子にあげた。
その夜、担任は我が家にやってきた。
取り急ぎGPSがあったことに相手が気づく前に回収したかったと言っていた。
それは成功したらしく、息子の筆箱と
今までになくなったものが全て無傷で帰ってきた。
息子は盗られていた事実に気付いていないので
そのままもう少しの間気付かせないで欲しいと言われた。
盗った子はとても良い子に私には見えていたので衝撃だった。
そしてその後、その子の家庭は崩壊した。
母親は返品され、子供を引き取った父親は引っ越して行った。
母親が金目のものを持って来いと指示しており、
子供は毎日何か持ち帰らないと夕御飯が貰えなかったと噂話できいた。
うちのGPSがきっかけになったことは担任と私だけの知るところで、逆怨みはなかった。
と言うことが数年前にありました。
盗った子から手紙が来て、息子と一緒に読みました。
あの時たくさん盗ってごめんねと。
息子は気付いていたらしい。
何か持って帰らないと夕飯抜きなことも全て。
そうだったのか。親って何も分かってなかったんだなと涙が出た。
お母さんあの時は心配かけてごめん、ありがとうと言われて更に泣けた。