いつ試合を見に行っても、息子はスタンドから仲間を大声で応援していた。息子「お父さん、お母さん、今日まで何不自由なく野球をさせてくれてありがとうございました」

うちは結婚して20年、長男は高3になる。
その長男、小学校2年生の時から野球を始め
3度の飯より野球が好きと言った風だった。

高校の進学先を決める段になった頃、息子が希望したのは、
甲子園の常連校、名門中の名門。その上、県外ときている。

周囲の反対も聞かず、結局一般入試で彼はその高校に進学し、
同時に野球部寮に入った。

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名門ではあるが、一般生の入部も受け付けているその高校。
念願の野球部には入れたものの、
同学年だけで4チームも5チームも
出来るほどの人数の上に、
監督さん自らが引き抜いてきた選手もゴロゴロ。
中学校では多少腕に覚えのあった息子だが、
たちまち現実の厳しさに直面したと思う。

いつ練習を見に行っても、息子は真っ黒になってボールを追いかけていた。
いつ試合を見に行っても、息子はスタンドから仲間を大声で応援していた。

それでも、そんな息子の姿を見たくて、
妻と一緒に片道4時間の道を車を走らせた2年半だった。

昨年8月。
息子に引退の時がきた。

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自宅に戻って来た息子が玄関先で出迎えた
私と妻に向かって小さな小瓶を差し出した。
瓶の中には、チームメイトがスタンドの息子のために
持ち帰ってくれた土が入っていた。

それを差し出しながら、照れくさそうな顔で息子が言った。

「お父さん、お母さん、今日まで何不自由なく
野球をさせてくれてありがとうございました」

妻が泣いている。

私も溢れる涙を止めることが出来なかった。

「お疲れさんだったな」

そう言って息子の坊主頭をブンブン振り回すしか出来なかった。

あの日から、私は少しだけ自分が変わったような気がする。
大学に進学する息子に、4年後また嬉し泣きをさせてもらえるように
まだまだ頑張ろうと思う。

我が家の実話です。

男は男同士と言うか、息子を授かって良かったですよ。
私は野球とは無縁でしたけどw

息子は3年間補欠の中の補欠でしたw
しかし、それでも泣き言ひとつ言わず頑張りぬいた息子を
親として、男として、誇りに思っています。

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