制服のまま深い川に入っていく女の子がいた

私は父子家庭、彼女は母子家庭でした。
父はアルコール中毒で仕事を辞め、なけなしの貯金を崩して生活してた。
私のアルバイト代も殆ど酒に消えて、
飯もまともに食べれなかった。暴言暴力も当たり前で、本当に辛かった。

父の酒を買いに行く途中「もう死んでしまおう」
と思って近くの川に向かった。
すると、制服のまま深い川にジャブジャブと入っていく女の子がいた。
自分もそのつもりでここに来たのに、
何故か助けなきゃと思って慌てて川に入って揉み合いになりながらも
無理矢理引っ張り上げた。

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彼女は「何してくれてんだ」とびーびー泣きながら私をひっぱたいたりした。
慰めることも叱ることもできずに、泣きわめく彼女を黙って見てるしかなかった。

落ち着いたのか、もう大人しくなった彼女に
「もう暗いから家帰りなよ」と言うと
「死にたい理由が家にあるんだ!帰るわけないだろ!」とまた怒鳴られた。

「僕と逃げよう。どこか遠くに逃げよう」
とクサイ台詞を吐いて手を引いて駅に向かった。
二人とも全身ずぶ濡れのままで電車に乗って、
最寄りから少し離れた駅で下車して服を買って銭湯に入った。
その日の終電まで出来るだけ遠くに行って公園で野宿をすることにした。
この時お互いの自殺の理由を話した。初めて自己紹介もした。
それまでの数時間は名前もしらなかった。
彼女の母は自宅で身売りをしていて自分も客にやられることがあったそう。
その日もそういうことがあって川に入ったそうだ。

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それから数日、一日中電車に乗っては野宿を繰り返してうんと遠くに来た。
ある日、巡回中の警察に見つかって保護された。
所持品から氏名、住所などがバレ、家に返されることになった。
それから、また私たちは元の生活に戻ったが
毎晩あの河川敷で会ってお互いを慰め励まし合った。

逃亡失敗から一ヶ月ほど経った日、
次は彼女が

「逃げていた時の事が忘れられない。貴方が嫌じゃなければもう一度私と行こう。
学校も辞めてどこかで地道に働いてさ、逃げ切ろうよ」

と言ったのでまた逃亡することにした。

またあの時と同じように電車で逃げてある土地で働き口を探した。
中卒の自分達を雇ってくれるところなんてなくて
随分苦労したけど部品工場で働けることになった。
社宅も借りれて四畳の部屋に二人で住んだ。
彼女も喫茶店でアルバイトをして何とか並みの生活を送れるようになった。

その後、お金を貯めて夜間の高校に入学して一緒に学校にも通った。
高校卒業して彼女は事務の仕事について、
私は今までの会社で働き続けました。
そして私からプロポーズして結婚。子供はいません。
今はもうおじさんおばさんです。
知らない人を連れて行くなんて、
今考えると変なことをしたなぁと思うけど当時は必死で、
必死に生きて気がついたら今って感じです

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