嫁「そこ閉めていただけますか」俺「わかりました」
現場仕事してた頃に誰かが
仮設トイレのドアを閉め忘れて付近ににおいが流れていってた
傍の学童施設で働いてた嫁がムッとした顔で
苦情いれてきた
キツネらしきワッペンがついてるエプロンで
怒られてたところで怖くなかった
きっかけは数日後にまた嫁と会ったこと
夕刻に先輩に誘われて近所の店の座敷で食事してた
俺たちの後ろの席で酔っぱらいの女がグダグダ喋ってた
そのあと先輩が女に挨拶して喋り始めてた
先輩から町内会で一緒の人だとあとで教えてもらった
その酔っぱらいの女の横でひたすら相槌うってた人がいて
どこかで見た顔だなとおもってたら、嫁
目が合って、頭さげたら目そらされた
トイレ出たときに通路ですれ違った嫁に
このあいだは失礼いたしましたと挨拶
嫁はこのときに俺のこと思い出したらしい
どうも、と言ってくれたが素っ気ない
帰ろうとしたら先輩が、近所だし送っていきますよって
話すすめてた
お前も乗ってけと言われたから乗せてもらうことにした
先輩の運転で俺と酔っぱらいさんと嫁が乗車
俺とおなじで嫁も後部席だったからちょっと喋ったりしてた
駅の近くでおろしてもらった
ホームで並んでたら嫁がスーッと通り過ぎて隣の列で電車待ってた
俺としてはあんまりキャッキャフッフしていない女性が好きだったし
ちょっと話してみたいとおもってまた嫁に喋りかけた
無関心なのは痛いほど伝わってきた
電車降りるまでに、お名前は?って聞かれたのをいいことに
名刺渡して番号交換するまでに距離は詰められた
嫁は形だけのもので俺とやりとりするつもりもなくて
公衆電話にでも貼っておいてやるかと思ったらしいけど
そこから約2年ほどかけつつ交際までこぎつけたよ
子供相手にああいう場所で働いてるなら
普段から人の良い柔らかい感じの人かと思ってたんだ
嫁が子供は好きだけど本当はかなり人見知りだっていうのはあとで知った
最初は嫁が素っ気なくて打ち解けるまでに時間もかかったから
約2年かかったのはそれもある
初め電話したころも「うん」とか「そうですか」しか言ってくれなかった
し口調も淡々としてた
家ではいつも何してるか聞いたら「大したことはなにも」って感じで
「今からラーメン食べるところだから返事ほとんどしませんよ」とか
俺と話すことなどないってのがヒシヒシと伝わってきてたけど
またかけていいか聞くと満更でもなさそうだったんで懲りずにかけてた
俺もはじめのうちは嫁のことはちょっと気になってたのと
ちょっと可愛いなぐらいにしか思ってなかった
嫁はただ暇だっただけらしい
そんな調子で何気ない話から少しずつ話すことがふえて
趣味とか把握できたころに食事に誘ってみた
嫁がテロンとしたシャツにスキニーみたいな恰好で来てたから
「そういうシンプルなの良いね」とほめたら
「仕事柄動きやすい軽装しかしないので」と何やら照れてらした
それ見て思ったのはたぶん喜びとか表にだすのが
あんまり得意じゃないんだろうなってこと
そういう不器用なのに一生懸命なところを見てると
いつのまにか好きになってしまった
そこから暇をみつけてはちょくちょく遊ぶようになって
亀ペースで仲良くはなれたんだ
1年半ぐらい経ったころ告白した
その時は嫁に「少し考えさせてほしい」
と言われて良い返事はこないかもなと思った
気持ちをしっておいてほしかったっていうことは伝えた
それ以後もあんまりそれまでと変わらず会ってた
半年近く経とうとしてたときに嫁が考えてたことを
話したいというから聞かせてもらった
「初めて俺と話した日は、
ちょっとキツい態度をとってしまったので
後日に会ったときは少しバツが悪くて素っ気ない態度をとってしまった
連絡先を聞かれたときはなんで私なんかと話したいんだろうと
疑問だった
電話がきたときもただの
暇つぶしなんだろうと思っていた
でも頻繁に電話をくれて、
自分と話したがっている人がいると思うと嬉しくなった
男友達がほぼ居ないようなものだったから新鮮だった
ただ自分に自信がないし、好意を持ってくれていたとわかってからは
なんで私なのか、私のどこがいいのか困惑していた」
てな感じのことを打ち明けられた
言葉じゃうまくは言えないがそれはきっと俺に対して
返事するために色々考えてくれたからだろうし
そういう真面目なところとか
不器用なところも含めて好きなんだよなって言ったら
同じ日本で育ったとは思えないぐらい恥ずかしいことをいうから困る
と俯かれたんだけど
再度告白したら返事はok 嫁の根負けもあると思う
付き合い始めてから喧嘩したり色々あったが、
まあ仲良くやってる