視覚障害者の人が持ってる杖をもって街中を歩いた結果

今俺は障がい者のための学校に通ってる。
主に目が見えない人の為の仕事に就こうと思って
日々勉強してる。

勉強の一環として、たまに視覚障害者の人が持ってる杖をもって
視覚障害者として街中を歩いたりする。

その時、やっぱみんなちょっとビックリしたような感じというか
みんなチラチラ見てくるんだよね。

小さい子供なんかは、気遣ってくれてるような
ちょっと怖がってるような目を向けてきて
なんか申し訳ないような、ちょっとだけ笑ってしまいそうな時がある。

いや、笑ってる場合じゃないんだけどね。

とりあえずその杖を持って、視覚障害者がどういうところに
不便を感じているだろうかという調査などをしたりしてる。

これは俺の勝手な調査だから、学校でこういうことをしてるわけではない。

で、最初この取り組みをやり始めたときは
やっぱかなりぎこちなかったんだ。

目を実際につぶりながら歩くんだけど、本当に怖い。
都会なのもあって、自転車との衝突とかを考えると
杖なんかじゃ全然安心できなかった。

視覚障害者の人はこんな状態でも頑張ってて
ホントにすごいよなって思う。

不慣れなときは普通に転んだりしたんだけど、
みんな本当に優しいんだよ。

特に俺の中で意外だったのは、
人ごみの中で転倒しちゃった時に助けてくれたのが
チャラチャラしてる兄ちゃんたちだったこと。

周りにいるマジメそうなサラリーマンやら
老人よりも真っ先に助けに来てくれた。

JKが助けに来てくれたときなんかは
不謹慎だと思いつつもちょっと喜んでしまった。

それで、試しに買い物に行ったんだ。

買い物に行ったら、店員がちょっと驚いた顔してた。

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で、俺に近づいてきて
「何かお探しですか?」
って言ってくれた。

ここで気付いた。

何を買おうか全く決めてない。

そこは百均だったから、テキトーに言えばよかったものを
俺はとっさに思いつかなくて
ちょっとオドオドしてしまったんだよ。

そしたら店員さんが、「こちらへどうぞ」って言って
人があまり行きかわないスペースまでつれてってくれた。

で、俺が思い出すまで(ていうか思いつくまで)
待っててくれた。

それで俺は何故か貯金箱と言ってしまったんだw

そしたら店員さんが色んな種類のやつ持ってきてくれたw

「貯金箱も最近は色々なのをおいてるんですよね~
1つ1つ形を言いますので、お求めのものがございましたら
おっしゃってくださいね」

って言ってくれた。
余談なんだけど、この店員さん、かなり美人だった。

美人で性格いいとか、完璧だわ。とか思ってた。

1つめは50万溜まるやつだった。
まだこんなのあったのかと思うと噴出しそうだったが我慢した。

2つ目はポストの形した、陶器のものだった。
まだ転倒しやすかった時だったから、陶器の商品を買うのは危ないなとおもってやめた。

3つ目は妙にパチモン臭いドラえもんの貯金箱だった。

俺は3つ目にした。

やっぱそうなのかな、この調査してるとき
声かけてくれる人に美人多いんだよな。

今になって考えてみたら、視覚障害者がワザワザ
こんな所に貯金箱を買いに来るなんて
不自然きわまりなかったかもしれんw

で、レジまで店員さんが連れてってくれた。

結構繁盛してる百均らしく、4,5人は並んでた。

忙しそうな状況なのに、店員さんは会計が済むまで
一緒にいてくれそうな雰囲気だった。

けど、申し訳なかったから「あ、あとは大丈夫です。ありがとうございます。」
と礼だけ言って、店員さんとは別れた。
店員さんはレジに戻った。

そしたら、俺の前におばさんが1人割り込んできたんだよ。
俺の目が見えない(と思ってる)のをいいことに。

いつもだったら「俺並んでるんですけど」って言うんだけど
目が見えないフリだから、おばさんが割り込んできたなんて
わかるハズない。

ムっとはしたが、品数も少なかったし
まあいいかと思いながらそのまま並んでた。

そしたら若い兄ちゃん(かなりヤンキーっぽい)が
「その人ならんでるんでしょ?ていうか俺も並んでるから
 後ろ並んで。」

って言ってくれた。

字で起こすとすごい淡々としてるが、言い方がマジで怖かったw
俺もビビってしまったw

そうなんだよ、若者の方が手を差し伸べてくれるんだよ。

かなり怖い兄ちゃんだったからか
おばさんは逆ギレなどもすることなく
後ろに並びなおした。

俺の個人的な偏見かもしれんが、
今の団塊世代はマジで自分のことしか考えてないような気がする。

しかし事態は予想外の方向に行くことになる。

さっきの怖い兄ちゃんが
「目ェ、見えないんすか?」って聞いてきた。

俺はとっさに「あ、はい」って答えてしまった。

一応俺の中でのルールでは
会計を済ませた時に、本当は調査でした、ご協力ありがとうございました。
って言うことにしてたんだが、
その兄ちゃんが俺の会計が終わるまで
ガン見だった(好奇心的な感じ)から、言い出せなかったw

で、会計が終わったら、店員さんが「お出口までご案内します」
って言ってくれたんだが、その兄ちゃんが
「俺が連れてくわ。アンタどっちから来たの?」
って言ってきた。

内心マジかよ!?ってビビったが、
別に悪い兄ちゃんではなさそうだったから
「お願いします」って頼んだ。

そしたら出口がその兄ちゃんとカブってたらしく、
「俺もこっちだわ!てか送ってってやろうか?」って言ってくれた。

予想外の出来事の連続と
ビビりと罪悪感で頭の中が混乱した。

しかし半ば強引に車のとこまでつれてかれた。

そしたら、車の中には仲間がいるんだよw

男1人と女1人。
俺と兄ちゃん合わせたら丁度4人だった。

仲間もなかなかいかつい格好してたから
マジで小便ちびりそうなくらいビビった。

しかも知らない人の車に乗るとか
危険すぎると思った。

結局断れずに乗ったけど。

学校に視界を悪くするメガネ(見た目サングラス)がある。
それを使って、やや半目気味とかで見てた。

透けない仕様だから、まあバレてないんじゃないかな・・・多分。

いかつい兄ちゃんって
案外良い人多いのな。
俺の先輩も見た目とか車とか
ガチでこえーけど、
めちゃめちゃ良い人多い。

中途半端なヤンキーとゆーか
いわゆるDQNがいちばんタチ悪い。

で、車の中では質問攻めだった。

「目見えないのっていつから?」とか
「目見えないのってどんな感じ?」とか
「A●とかどうすんの!?声だけ!?」とか聞いてきた。

かなりズバリ聞いてくるうえに、質問の内容が
あまりに若々しくてちょっと笑った。

「目見えないのっていつから?」⇒小学生の時からです
「目見えないのってどんな感じ?」⇒真っ暗って感じです
「AVとかどうすんの!?声だけ!?」⇒声だけ・・・ですね
って答えた

そんなこんなしてるうちに家の前まで着いた。
お礼を言って兄ちゃん達と別れた。

「また困ったことあったら言えよ!」
って言ってくれたんだが
特に連絡先を交換したでもない。
本当嵐のような兄ちゃんだった。

全盲だと真っ白らしいんだが
当時俺は勉強不足&テンパっていたせいで、ありのまま暗いと話してしまった。
あれがバレてたらと思うとヒヤヒヤモンだよ。

他にも似たような話は結構あるんだが、
本当に似たような話なんで割愛。

あと感激したのは
小さい子が電車で席を譲ってくれたことかな。
ただ、他の席ガラッガラなんだよなw

あのときは嬉しさと罪悪感が半端なかった。

まあそんなこんなで、調査をしつつ
日々過ごしてたんだ。

ちなみに、この調査のことは
なんか恥ずかしくて友達にも言ってなかった。

遠い土地でコッソリコツコツやってたんだよ。

調査をし始めてから半年くらい経った頃、本当偶然に
以前行った百均に行くという機会があった。

友達と一緒に行くわけだから、俺は目の見えている
ただの男なんだよ。

俺も以前の出来事を頭の隅では
覚えてたんだが、まぁ関係ないだろうと思って
普通に買い物してた。

そしたら、あの美人店員がいた。

あ、あの時の・・・って思った。

でも、店員からしたら、俺なんか一客だろうし
覚えてないだろうなと思って
スルーした。

そしたら、近づいてくるんだよ、こっちに。

え?え?って思ったが体は硬直して動かなかった。

近づいてきた美人店員は一言
「お客様・・・以前・・・」って言ってきて、
うわ!覚えてたんだ!ってかなりあせった。

別に焦ることはなかったのかもしれんが、
冷や汗ダラダラもんだった。

そこで、調査のことを打ち明けた。

そしたら、ものすごい話に食いついてきた。

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最初に店を尋ねたときの親切さとか手馴れてる感じからして
もしかして、身近にそういう人がいるのか?と思って
聞いてみたら、美人店員の祖母がほぼ目の見えない状態らしかった。

通りで親切なわけだ。

本当に嘘みたいな話なんだが、そこで
電話番号を交換するまでに至ってしまったw

どういう流れでだったかはボンヤリとしか覚えてないんだが
もっと話を聞きたいって言ってくれて嬉しくて、
つい渡してしまった。

お互いauだったから、最初はCメールでやり取りして、
長文になり始めてからはメアドを交換した。

美人店員は毎日祖母の話をして
俺は毎日学校での話をした。

とにかく健全なやりとりだった。

そのときの俺は何故かかなりの賢者モードだったらしく
美人店員と付き合いたいとか、そういう下心が一切なかった。

ただ、女の人でこういう話に興味もってくれたのは
この人が始めてだったからかなり嬉しかったんだと思う。

美人店員の方も、俺みたいな人は始めてだから
話し相手が出来て嬉しいといってくれた。

かなりの余談なんだが、
俺がこの学校に進もうと思ったキッカケは
小学生の頃に全盲の友人がいたから。

そいつは転校してったから、今は付き合いないんだが
小学生の頃の俺にはかなり衝撃的だった。

一時期、テストやら課題やらで
俺から長文を送れなくなったときとかも
あっちはいつもどおりに色々打って送ってくれた。

迷惑だったらやめるから、と気遣ってくれたもの嬉しかった。

でも毎日美人店員の祖母の話を聞くのは
俺にとってかなり勉強になる話しだから
いつもしてもらってた。

それで、連絡取り合ってから2ヶ月くらい経ったときに
美人店員の祖母が是非俺に会ってみたいって言ってくれたから
その週末に会うことになった。

学校でそういう施設に訪ねて全盲の人と
触れ合ったことはあったんだが
何故かかなり緊張した。

約束の日。

3人で待ち合わせして、どこかで適当にお茶しようかってことになった。

結構混雑してる街中だったから、なるべく俺が
おばあちゃんを誘導してあげたかったんだが
美人店員の方が遥かにそういう動作がうまかった。

それを見てたら、俺は勉強ばっかりで、実際の動きなんかは
全然なんだなと思い知らされた。

喫茶店で色々と話をした。

ばあちゃんは年をとってから目が見えなくなったこととか
目が見えてた頃はこんなものを見てきたとか
もう一度目が見えるようになったら、あんなものが見たいとか
色んな事をきいた。

なんか最後のほうとか切なくて、泣きそうになったんだが
それは恥ずかしいから我慢した。

なんで日本の医療技術はもっと発達しないのかと思った。

そうなんだよな、医療も発達してるんだよな。
とにかく俺に出来ることは、全盲の人が暮らしやすい世の中にすることだなって思った。

しばらく喫茶店で話してたんだが、
おばあちゃんが急に「(俺)にエスコートでもしてもらおうかねw」って
言ってきた。

俺は最初キョトンとしてた。
美人店員は笑ってた。

なんでも、近くにある食器屋?に
茶碗を買いに行きたいらしかった。

で、流れるままに
おばあちゃんと俺の2人きりで買い物に行くことになったw

美人店員は時間つぶしてるねっていいながら
どこかへ行ってしまった。

最初はオロオロしたが、俺がしっかりしないとなと思って
おばあちゃんと歩いていった。

おばあちゃんと手とかつないだんだが
「若い男の子に手なんか握ってもらって照れるねw」と言われて
なんか俺もすごい恥ずかしかったw

上でも出ていたが、完全に祖母ルートだったw

人ごみの中だからかなり気を使ったが
無事茶碗屋まで着いた。

スペック一気に書きます


身長 172(最後にはかったのは去年の夏)
体重 55
顔 地味

美人店員
身長 俺より5センチ低いくらい?
体重 不明
顔 丸めの顔。俺的には戸田エリカに似てる気がする。

おばあちゃん
身長 かなり低い
体重 不明
顔 昔は美人だったかもしれないなって感じの顔

茶碗屋についたら、これまた気のよさそうなおじさんが
「お?○○さん(おばあちゃん)お孫さんかい?」って尋ねてきた。

「いやいや、ボーイフレンドよw」って笑いながらおばあちゃんは
俺を紹介した。

おじさんは大爆笑だった。

俺のことを詳しく話したわけではないが
とりあえず美人店員の友達だということであっちは納得していた。

おばあちゃんはその店の常連だったらしく
電話であらかじめ欲しい者を連絡していた。

なので、受け取りに行ったってのが正しいのかもしれない。

おじさんが奥からすでに包まれた茶碗を持ってきた。

で、おばあちゃんがお金を渡そうとしたんだが
財布を俺に渡してくれて「お任せしていい?」って言ってくれた。

ほぼ見ず知らずな俺に財布を託してくれたのが
とても嬉しかった。

で、会計を済ませたんだが、おじさんが
「ちょっと待ってな」と言った。

ポカンとして待ってたら、おじさんが
なんかいい感じの湯のみを包んでくれた。

「○○さんのボーイフレンドだから、サービスするよ」って言ってくれた。

いや、お金払います!って言ったんだけど
いいからいいからといって受け取ってしまった。

あ、あと俺が障がい者のための学校に通ってるってこともおじさんに言ってたから
「しっかし勉強して、○○さん助けてやってくれ」って言ってくれた。

俺は元々目頭がすぐ熱くなるタイプなんで
そのときは本気で涙目だったかもしれないw

で、お礼を言って店を出て行った。

そのあと、美人店員に連絡して合流しようかってなったんだが
おばあちゃんが「(俺)くん、ちょっともう1件付き合ってほしいんやけど、いいかい?」って言ってきた。

それは3人で?と聞くと
2人で、って言うから、2人で行くことになった。

自分で書きながら、これマジで祖母ルートだなw

で、着いた先はちょっと古い、いや伝統的っぽい
回転焼きの店だった。

俺は以前美人店員に甘いものがすきだという話をしていたんだが
まさかおばあちゃんがそのことを知っているとは思わなかった。

そこでおばあちゃんは俺に回転焼きをおごってくれた。

この時も払いますって言ったんだが
いいのよ、そのかわり美人店員には内緒ね、といって笑っていた。

そして、この店の人もおばあちゃんを知っているぽかった。
さっきの食器屋のくだりと全く同じことをした。

2回目ともなると俺もなんかノってきて
ボーイフレンドネタに乗っかったりしながら笑いあった。

そしたら、店員さんが回転焼きを大量にくれた。
ここでも払おうとしたんだがry

今日はなんだか貰ってばっかりだなと思った。

それから、用事も済んだので美人店員と合流した。

美人店員はかなりニヤ~っとして
「デート楽しかった?」って言って笑っていた。

「うん」って返した。
多分俺の顔もニヤついてた

で、電車に乗って帰った。

もうその時には俺もすっかりおばあちゃんの誘導に慣れて、
率先して誘導させてもらった。

やっぱり実際の経験は、何時間机にかじりついて勉強したものよりも
遥かに大事だと思った。

美人店員とおばあちゃんは俺の降りる駅よりも3つほど先だったから
俺だけ先に降りる形になった。

そしたら別れ際に美人店員は、「これあげる」って言って
小さい紙袋をくれた。

え、あ・・・って言ってるうちに電車のドアは閉まって
行ってしまった。

そいえば答えてなかった。関西住み。
標準語で書いたのは、別に意味はない。

家に帰って紙袋をあけたら、
一時期噂になっていた八つ橋キティが入っていたw

なんだこれだよwと思ったが
普通に嬉しかった。

本当に今日は貰ってばっかりだなと思った。

その日の夜、美人店員とおばあちゃんと電話をして、
お互いに今日のお礼を言い合った。

人生で一番って言ってもいいくらい充実した一日だった。

で、美人店員からのそれからというと、今も前と変わらない付き合いをしてる。

本当に友達同士って感じだ。

俺も下心があるわけではないし、美人店員もこっちのことをどう思ってるのかサッパリわからない。
お互いの恋人事情なんかは一切ノータッチだし。

というわけで、たいしたオチはなかったんだが
本当日本人まだまだ捨てたモンじゃないな、と思った話でした。

周りの人たちがいい人ばっかりだから
俺も見習おうとは思ってるけど、俺はまだまだだと思う。

ここまで支援やら見てくださった方もありがとう。
また美人店員もしくはおばあちゃんと何か進展があったら聞いてくれw

じゃあおやすみ。

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