小さい頃に近所で見慣れない大人に会った。
近所の人は怪しい奴だと言ってたけど、
女性にはキャーキャー言われてたみたい。
で、そいつに話しかけられてさ、親父の知り合いだって言うから
信用しちゃって、当時の宝物だったコレクションを見せてあげたんだ。
それから帰ってコレクション眺めててたら一個減っててさ、もう泣いて泣いて。
だから知らない人と話したりするなといつも言ってるだろ!って親に怒られたっけ。
え、知り合いじゃないの?みたいなw
それから20年か、先月の盆休みに実家に戻った時に物置漁ってたら、
その懐かしいコレクションでてきてテンション上がって、
またコンプしたくなってさ。
メーカーに問い合わせてみたりヤフオクとかで探してみたんだが全然なくて。
でまあ暇だから8年ぶりの地元を散歩してみた。
なんも変わらないな~なんて思いながらフラフラしてたら、
田舎だからかみんな俺のこと物珍しそうな顔で見ててさ、
なんかヒソヒソ話してた。
で、昔よく遊んだ場所に行ってみたら小さい子どもがいてさ。
「何して遊んでんのー?」
と声かけたら、田舎だからか昔と同じ遊びやってんのね、
さすが田舎。
「お兄ちゃん何処の人?怪しい人?」
って聞かれたから、
「怪しくないよwすぐそこの角の◯◯さんちに遊びにきたんだよ、知ってる?」って答えたら、
「うん知ってる!そうだ、じゃあこれ見せてあげる!」って言い出して。
子どもって自慢したがるんだよなーなんて思いながら見せてもらったら、
うおおおおおお!俺が探し求めてたコレクション!
しかも盗まれたあの一個も持ってる!
…やっちまった。
子どもの目を盗んで一個パクッた。
帰って罪悪感に浸り、明日返そうと決めた。
翌日、同じ場所に向かった。
向かう途中、なんか昨日と景色が違う。
古臭い家ばかりだったのが、今時の一戸建てやマンション、
砂利道の道路は整備されてて、あれ?と思った。
で、現地に着くとコンビニになってた。
そこで完全に気付いた。
小さい頃に会った大人は俺で、
昨日会った子どもは小さい頃の俺だと。