中学生時代にいじめられていた私は覚醒して足元の石をいじめっこの頭に振り下ろした

個人的に後味が悪かった話。

中学生時代、私は太っていた。
平均体重より少し多い位だったんだが、
体よりも顔に肉がよくついていたせいで、
実際の体重よりも太って見えていた。
それが原因らしくていじめられた。

私は多少の事では根を上げなかったので、
益々いじめはエスカレートしていった。
初めはからかい程度だったのが、
その内何が原因でいじめがはじまったのか分からない位陰湿で
暴力的な内容になっていく。

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金品までは要求されなかったが、
下校途中にクラスの女子全員に囲まれて殴る蹴るを
されたりもした。
親には即相談し、親も学校にねじ込んでくれたのだが、
学校は「いじめはない」の一点張り。
どうせ卒業までの間だろうと私は半ば諦めていた。
今思えば、そういう態度が彼女達のカンに障ったのかも知れない。

その日も学校の帰り、ある総合団地の隅にある死角に
引きずられてきた私は、
クラスの女子全員の「デブ」「死ね」コールと共に腹を蹴られ、
足を蹴られ、頭を殴られた。

ただ彼女達も心得たもので、
出血するほどの強さで暴力は振るわない。
せいぜい痣が出来る程度だった。
ところがその日は、力加減を間違った女子が一人居て、
私のみぞおちに彼女の足がクリーンヒット。

息が止まり、体の血流が底なしの沼に落ちていくような
錯覚の後、私は強かに吐いた。
昼に食べた弁当の一部が未消化のまま戻されていく。
吐いた物と一緒に、自分の中の何かが無くなっていく気分がとても心地よく、
体は痛い筈なのに、妙に気持ちよかった。
その心地よさは私を突き動かし、
私は自分のゲロにまみれた足元の石を握り、
取り合えず私のみぞおちを蹴り上げた彼女の頭部に打ち下ろした。

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ゴスっと鈍い音がして、彼女は悲鳴を上げてうずくまる。
「痛いよ。痛いよぉ」と泣き言を言い出した彼女を私は蹴り飛ばして、
呆然と見ている他の女子達を片っ端から石で殴り始めた。
「やばいよ、キレた」と誰かが呟いたので、
その声の主を探して殴り、逃げようとする女子を追いかけて殴った。
たまらなく気分がいい。

こんなちっぽけな石一つで逃げ惑う彼女達が可笑しく、
こんなに心地の良い気持ちになれるのに、
どうして今まで我慢していたのかと思うと可笑しく、
私は笑いながら彼女達を追いかけて、石で打ちつけた。
彼女達はまるでスローモーションの様に
緩慢な動作で逃げるものだから、
私は容易く捕まえてしまう。

「もっと、もっと早く逃げなよ。私より痩せてるんだから身軽でしょう?」

とかいう声が聞こえて、それが自分の言葉だと悟るとまた可笑しくなった。

しばらくすると、辺りには彼女達の悲鳴を聞きつけた
団地の人達が駆けつけて、信じられないような顔で私達を見ていた。
その後、私の家にクラスの女子の親が押しかけてきては、
私の体に残る様々な痣を見せ付けられて、
すごすごと戻ってゆく様子や、
学校が私の痣の診断書を見せてくれと言って来たりして、
私の振るった暴力は一切責められないまま、
私のみぞおちを蹴り上げた女子と
、一応首謀者と見られる女子の二名が転校という処分になり、
いじめの事実も、私の暴力もなかった事にされ、卒業を迎えた。

みぞおちを蹴り上げた女子の頭部には、
10年ほど経った今でも傷跡が残っていると噂に聞き、
何となく後味が悪くなってしまった。
まあ、私もどす黒く変色した痣の跡があちこちにあるので、
おあいこかも知れないが。

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