ちょうどあの時みたいで思い出してしまった

この時期になると思い出す、もう何年も前の、
今でも心に泥のようにこびりついてる最悪な話。
俺と友人は渓流釣りが趣味で、大学時代はシーズンになると
毎週のように2人で釣りに行っていた。

お互い社会人になるとそれも年に9回程度になり、
友人が結婚して子供が出来ると2,3回程度まで減っていた。

そしてその年は友人の会社の先輩も一緒に行くことになり、
半月前から3人で予定を組んでいたのだが。
一週間前になって天気予報で、当日の天気が怪しかった。

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3日前になるとほぼ確定で雨の予報。

「ちょっとくらいの雨ならむしろ釣果が上がる」

と乗り気な友人と先輩にたいして、
俺は

「あくまで安全に楽しむべき趣味だ。中止しよう」

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と説得した。
予定していた場所は際どい獣道を歩いた先にある
玄人向けのスポット。
雨の日に強行するには命がけになる。

俺は独身だが友人と先輩さんには嫁も子供もいる。
友人にそのことを踏まえて必死に説得し、
友人は渋々だが納得してくれて、
釣りの予定はキャンセルになった。

だが、そう思ってたのは俺だけだった。

友人と先輩さんはその日2人で山に入り、
天気は案の定雨。
後で2人で釣果を俺に報告し、
「お前もくれば良かったんだ!」と自慢するつもりだったとは、
後に先輩さんから聞いた話。

友人は、荒れた川に足を取られてそのまま。
葬式で死んだように青白い顔色をした奥さんと、
友人の遺影をぼーっと眺めている
幼い娘さんの姿が今でも心に焼き付いてる。

もっと必死に説得すれば良かったとか、
奥さんにも相談しておけば良かったとか、
今でも思い出すたびに後悔してもしきれない。
明日あさっては雨だ。
ちょうどあの時みたいで思い出してしまった。

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