随分前だけど、俺の会社の一番の得意先が倒産した。
給料も怪しくなってきたし、共倒れは目に見えていた。
かみさんは日ごろから
「私は両親が共働きで、家の中はいつもゴチャゴチャしてて、
おやつもポテトチップスとかで夜ご飯も外食が多かったから、
絶対に専業主婦がいい、贅沢できなくてもいいから専業でいさせて」
と言ってて、実際に専業で家事も一応は頑張ってくれてて
俺も満足してた。
でも、俺自体の収入もヤバイ、首きられっかも、
新しい所探すにしても時間もかかる・・・
バイトしたって収入は半分以下に減る・・・
どうしようもなくて、かみさんに、そのまんまを言った。
そしたら
「じゃ!コンビニ行こ!アルバイトニュース見たいし」
と言われ、買ってきたアルバイトニュースに
ガンガン折り目をつけながら計算機を片手に
「最悪の場合、今度の給料ももらえないとして、
貯金を崩すとしても○○万円がどーの、あなたがバイトを探す場合はどーの、
私が自給800円で働いたら1日に○千幾らで、月に幾らで・・・」<
とテキパキと一心不乱に計画を立ててた。
運動神経はゼロだし、知的とは余りいえないタイプだし、
本当に温かさだけに魅かれて結婚したかみさんだけど、
マジで尊敬した、てかびっくりした。
お前、いつも泣き虫なくせに、
何そんなに冷静なんだ?何で俺に文句の一つも
泣き言も言わないんだ?と思いながら
「最悪、そうなった時には働いてくれな、ほんとすまんけど・・
でも、なんとか頑張るから、もうちょっと待ってくれ」
と言ってた。
結果、すごくうまい具合にコネがあって(実際に元の会社はつぶれたが)
違う会社に就職できた。(給料や待遇も幸運なことに、
元いた会社と同レベル)
結局、かみさんは今でも専業してくれてるけど、
俺さ実は当時、浮気しそうになってたわけよ。
ちょっとした出会いがあって。でも、しなくて良かったと思ったよ。
(浮気心がなくなった訳じゃないが)
かみさん裏切ったら恐いなって思ったしね。
普段ボケてるくせに、やるときゃやるって分かったし。
不倫なんかして訴えられたら恐い・・てのは冗談だ。
マジで裏切りたくないって思ったんだ。