大学の部活にテレビ局勤めだという
お金持ちの男性がよく顔を出していた
卒業した先輩の知り合いらしいというのは
聞いてたけど、部活との詳しい関係はわからなかった
私が入部したとき、
私より一回り以上離れてると言っていたので、
年齢は30過ぎ、見た目は濱田岳に似ている
一見紳士なんだけど、
女性と二人だけになると手を繋ごうとしてきたり、
頭をなでてきたり、気持ち悪い一面もある人だった
だけど地位もお金もあるので、
就活の相談にのったりして、
特に男性には信頼を得ていた
一個上の先輩は2010年卒で私が2011年卒、
と就活がかなり厳しい年だったから、
なんかもう、先輩後輩男女問わず、職が手に入るなら!と
濱田岳似の男性を崇めて、職を紹介してもらおう、
みたいな人が多くて、異様だった
一種の宗教みたいな
女性はディナークルーズに誘われたり、
内定貰ったときはお祝いとして
一人暮らしの賃貸を紹介してもらったり、家具家電を購入してもらった人もいたみたい
私も一年の頃から何度も何度も誘われてたけど、
この人の誘いにのったら
今後この人と縁を切れなくなる、と思うと
あまりにリスクが高くて、一度も誘いにのらなかった
私の就活は、2011年卒は求人そのものが
激減していて、私の希望職種も毎年求人出してる
会社もほぼ求人無しか、
毎年男性しか雇わないようなところばかり
最終面接にこぎ着けても、
そこでお祈りメールが来ることが何度もあった
部活の人たちは、濱田岳似の男性に紹介してもらったり、
口添えしてもらったりで早々に決めてる人も多く、
地道にコネもなく就活してる私を
「愚図な真面目ちゃん」と皮肉る人もいた
それでもなんとか
従業員50人に満たない中小に就職
周りとは明らかに見劣りしたけど、
自力で内定とれたのはその後の自信に繋がった
5年その会社で下積みして、
27でリクルートエージェントを利用しての大企業へ転職
しかもそのときは希望職種へ
一方、濱田岳似の男性に紹介された人は、
卒業後も縁がずっと続き
会社では紹介された手前、
どんな扱いを受けても、
コネ入社なので言い出しにくかったらしい
もちろん止めるとも言えないし、
就活の激戦を勝ち抜いたエリート同期と
能力の差をまざまざと感じながら、
体育会系の部署に放り込まれた男性は
鬱になりながら働いてたりした
女性で職を紹介してもらった人は、
たまに濱田岳似の男性がお客として来るので、
接待をしなければならなかったらしい
賃貸を紹介してもらったり、
家電を購入してもらった人は、
家を抑えられてて逃げられなかったそうだ
ツイッターやLINEで皆嘆いてたけど、
こうなることは安易に予想できたんじゃなかろうかと思う
甘い話には裏がある、
なんて大学生になればわかるだろうに、
自分から楽な方に逃げてそのツケに悩まされて
鬱まで発症してしまうなんて、神経わからない
私は大学に行くまで田舎暮らし田舎育ちで、
人と人の距離感がとても近いところで過ごしてました
だからこそ都会の危険を
全く知らずに生きてきたんですが、
逆に人と人の縁の怖さは嫌というほど知っていたので
大学のこの件は育ちが幸いしたと思っています
愛人契約なんて考えは私には
微塵もありませんでしたが、
今結婚して、当時のことを知っている私の周りからは
「あの時あの人(濱田岳似の男性)に
頼らなくて良かったね。
頼ってたらこの結婚も無かったよ」と言われました
都会の人からすると、
よくある世間知らずの若者をだまくらかす手段だそうですね
身近にそんな危険な人がいたのかと思うとゾッとします
縁が続くような選択を回避し続けてよかったです