不倫ちゃんは「出会う順番が違っただけ」

何年も前の話だけど義弟夫婦の離婚騒動。
原因は義弟(夫の弟)の不倫。
相手は新卒の高校出たばかりの子で、
義弟が既婚なのは知ってた。
義弟嫁さんは乳飲み子と2歳の子抱えて
「戦う気力も体力もございません」
て感じでボーっとするばかりで、
仕方ないから夫と私が代わりに義弟と
不倫ちゃんの話を聞いた。

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不倫ラリって言葉をその頃は
知らなかったけどまさにそんな感じだった。
二人とも目がランランとして、
言葉遣いがおかしい位ハキハキしてた。
普通なら「彼女と結婚したい」て言うところが
「俺は、彼女とっ…、結婚、したいと思ってる!」
主語と述語ハッキリしてんなー、って変なとこに感心した。

義弟嫁さんは「現実感ない…笑えますね…笑える…」
ボソボソ繰り返すだけでこっちはこっち
で精神状態が危険だったから一旦小休止した。
義弟が離籍しタバコを買いに行ったので、
夫が不倫ちゃんに「貴方はどうしたいの」と聞いた。
不倫ちゃんは「出会う順番が違っただけ」
「彼はもう奥さんに気持ちがない。
愛されてないのにすがったって惨めなだけでしょう?!」
とか言っていた。
「お金ならいくらでも払います!しょせんお金なんでしょ、寂しい人!」とか、
ドラマかよ…て台詞をなぜか義弟嫁さんじゃなく
私に向かって連発した。

ただの同席者の私もさすがにムっとしたんで
「貴方ね、貴方の方が家庭を壊した加害者なんですよ?」と言うと
不倫ちゃん「確かに私が悪かったです。
でもっ、彼に恋したこの心だけは、責めないでっ…!」
とキメ台詞を発した。

ドヤ顔してたから本気でキメ台詞のつもりだったんだと思う。
「この心だけは、」のあとの0.5秒くらいのタメとか、
「責めないでっ…!」の区切りいい言い方とかが
すごく「変」としか言いようがないくらい変で、
私と夫は顔を見合わせてしまった。
なんかもう心から「えー…何これ」て途方に暮れて見合わせた。

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その目が合うタイミングが絶妙だったからか、
先に夫がニヤっと笑った。
そのニヤを見たら私もニヤニヤっとしてしまい、
あーやばいと思ったけど、
一度ニヤニヤし出すと顔が戻らなかった。
夫がごまかそうとして咳と奇声の中間みたいな
「あーっ、あー」という声を出し始めて、
それが更にツボに入った。

夫から目をそらすため義弟嫁さんを見たら、
義弟嫁さんまでニヤニヤしててもう駄目だった。
義弟嫁さんまで「んんーっ」とか声を出し始めるし、
もうあかんと思いお茶を淹れ直すふりをして
私はキッチンに逃げた。
何度も空咳をして笑いをひっこめて戻ったら、
不倫ちゃんはキメ台詞を外したのを悟って
ぶぜんとしてるし、夫はまだ「あー、あーっ」と
言い続けていてもう限界だった。
結局不倫ちゃん一人残して三人でキッチンに逃げて、
爆笑してから戻った(ら、義弟も帰ってた)んだけど
絶対笑い声聞こえてたと思う。

不倫ちゃんは義弟に当たりちらしたらしく、
大喧嘩になって、その後すぐ別れた。
義弟夫婦は再構築したけど、
義弟嫁さんさんの信頼が戻らず1年後に離婚した。

今でも年2、3回、子どもたちを
義両親に会わすため義弟嫁さんが来る。来ると必ず
「あの時は死ぬかと思った」って昔話になる。
それくらい苦しかった。

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