メガネがないと何も見えない私を、
メガネなしでドライブ中の車から放り出してくれた
婚約者を棄ててきた。
解決したので投下。
身バレしない程度にフェイクをいれるのでご容赦を。
私は極度のド乱視とド近眼で視力が低い。
メガネをしても車の運転は無理。
そのうえドライアイがひどいため、
コンタクトを常用するのは無理。
二年付き合った彼のポロポーズを受け、
寿退社する予定だった。
相手は同じ会社の同期。
ここまでが前提。
両家の挨拶や挙式の日程も決まり、
独身生活もあとわずかというときのことだった。
翌日も休みということもあって、
デート帰りに彼と車でドライブを楽しんでいた。
前述のとおりコンタクトを常用するのは無理な私だけれど、
一生に一度のお式の日くらいは
メガネではなくコンタクトにしようと
彼と車のなかで話していた。
前々から彼は私がメガネをかけているのが不満で、
「外していたほうが美人なのに」と言っていたので
自分のオトメゴコロもあったけれど
単純に彼に喜んでもらいたかった。
そこでなぜか彼は
「一日コンタクトにできるのなら
ずっとコンタクトでいろよ」と言い出した。
過去に何度か挑戦して、
ダメだったことは言ってあったので口論に発展。
最初は私も無理だよ~って感じで軽いノリだったが
「メガネのお前、ぶっさいくでマジ引くんだよ」
と言われたことでヒートアップ。
そのうち彼は車を停車させて、
「見えない見えないって大げさだ。
そう言えば運転してもらえると思って調子にのんな!」と
私の顔からメガネをむしり取ると、
助手席に回り込んで私を車から放り出した。
私はメガネがないと手元すら見えない。
突然のことにパニックになった私を置いて彼は
「自分で帰ってこられるだろう!」と
車で走り去ってしまった。
もう夜も遅い時間だったけど、
街中だったから真っ暗ではなかった。
街の騒音や車道の車の音が聞こえてくるけど、
私には歩道も車道も区別がつかない。
どれが店のあかりで、
どれが車のあかりなのかもわからない。
そんな状態でたったひとりで放り出された。
自分が持っていたのは
上着のポケットに入っていたスマホだけ。
バックすら持っていなかった。
怖くて泣けてきた。
必死でスマホを使って彼を呼び出すけど出ない。
だれかにSOSをかけたくても字が見えなくて、
彼に電話をかけられたのも
その日に彼と電話で話していたから
リダイヤルでかけられただけというものだった。
どこが安全に歩ける場所なのかわからないまま、
壁かな?と思うところを手探りで歩いて車と接触した。
聞いた話だと、私は店の壁に手をついて進んでいたが
足元にあったゴミだか、段差だかに気づかずに躓いた。
後でそこに行ってみたら、
私が車と接触した現場は路地の入口。
ちょうど歩道と歩道が切れて
小さな車道が路地に向かって伸びていた。
幸い、運転手さんは徐行速度で走っていたから
私自身はあちこち擦りむいて痣を作った程度だったけど、
その時の私は車の形を認識できていなかったので
突然光りが向かってきたと思ったらこの衝撃で、
ついでに自分の身体を視認することもできていなかった。
パニックはMaxになった。
その場で救急車を呼ばれて、
ひとだかり?っぽいカタマリから私に向かって
大丈夫ですか?って声が聞こえて、
正直どう助けを求めたのかわからない。
大泣きしながら目が見えていないことや、
私のスマホからだれでもいいから呼び出して的なことを
叫んだんだと思う。
声をかけてくれた人が応じてくれて、
呼び出してくれた人物が 上司 だった。
単純にアドレスのア行で一番上にいた人。
電話してくれた人が私に代わる前に、
このスマホの持ち主が事故に遭ったこと、
自分はただの通りすがりだってことと、
アドレスの一番上にあった名前を
呼び出してしまったことを説明してくれて、
上司が彼を呼び出してもでなかったため、
急遽上司が搬送先の病院に来てくれることになった。
私は就職と同時に上京したので実家は遠方。
夜勤がある職場なのですぐに会社に電話して
私実家の連絡先を調べて事故の一報をいれてくれた。
病院に運ばれたころにはやっと落ち着いて、
看護師さんの手を借りながら
一通りの検査を受けていたときに上司が来てくれた。
私と接触した車の運転手さんや警察も来て、
どうしてこういう状況になったのか説明した。
この上司は彼の大学のOBで、
結婚の仲人をお願いした人物。
彼からメガネを盗られて車から身ひとつで放り出され、
バックもサイフも持っていないから
立ち往生してこうなったという私の説明に激怒した。
移動しながら上司は電話やメール、
部署内のLINEを使って
彼に私事故の報を入れてくれたらしいが、
音沙汰なしだったらしい。
後でわかったけど、
彼は パ チ 屋 でスロット中だった。
私からの着信は故意にスルー。
(ちょっと放置したほうが甘え癖が治ると思ったらしい)
上司からの知らせはスマホを見ないほど熱中。
車のなかに私のバックがあることに
気づいていていたけど、
「子どもじゃないし、どうにかするだろう」と
安易に放置したらしい。
当初はバックれて、
「少ししたら迎えに行くつもりで近くにいた」
とか言っていたけど、
真相を会社の別の部署の友人にメールで愚痴ったものの、
その友人が切れてLINEに転載したことから
真実が発覚した。
当然婚約破棄。
彼は納得しなかったけど
私が上司や周囲の威光を借りて押し切った。
「デートのたびに自分が運転するから
たまにはお前に運転してもらいたかった」とか、
「せっかく美人な嫁をもらうから自慢したかった」とか、
ごちゃごちゃ並べたけれどそんなの知るか。
そもそも私は運転免許を持ってない!!
婚約破棄の慰謝料をイロイロ+αして請求した。
訴えてやってもよかったけど、
訴えない代わりに
同棲先を私が出るための諸経費モロモロや、
挙式のキャンセル料の支払いも合わせて請求した。
彼とその親父は「そのくらいで」と言ったけど、
私たちは半年同棲していて、
彼は私がメガネを外したら何も見えないことを
よく知っていた。
同時に私の寿退社は取り消し。
続行して働けることになった。
彼は周囲に私の要求が大げさなもので、
オーバーに話しているだけだとごねたことで総スカン。
別部署に異動になったが
そこでもすっかり私にした所業は知れ渡っていて、
一月もしないうちに退職した。
慰謝料+αは
「一括で支払って。でなければ訴える」という
私の一言が聞いたのか一括で支払われた。
上司には今度の件では
何から何までお世話になりっぱなしで頭が下がる。
私スマホで上司を呼び出してくれた通りすがりの方に、
私は連絡先すら聞けなかったのだけど、
この上司がぬかりなく聞いていてくれたおかげで
後日お礼に行くこともできた。
車からメガネなしで放り出されたときは心底怖かったし、
歩いてたときは生きた心地もしなかったけど、
今ではあの彼と結婚せずによかったと思っている。
結婚の予定も白紙に戻ったし、
上司や周囲には散々ご迷惑とお世話をかけたので
仕事で挽回して行こうと思っています。