友人に聞いた話。
友人の彼女のA美さんは転職したのをキッカケに
住んでいた部屋を引っ越した。
その日残業が終わった後、同僚と居酒屋で食事をして
帰宅したA美さんは、部屋へ入ろうとカギを出したが
「部屋間違ったらマズイな・・」
と、考えたそうだ。バカバカしいとは思えるが、
引っ越したばかりという事もあって普段は考えない様な事を思い、
ドアの上の方にある、部屋番号を確かめようと思ったそうだ。
多少酔っていた事もあったのかもしれない。
部屋番号は間違いなく自分の部屋だったのだが、
A美さんはアパートの入口へ戻り、郵便受けを覗いて、
自分宛てのチラシとか電気代の振込み用紙などを
取り出してバッグに入れた。
郵便物を取出し終ったA美さんは、
その場で
という。
「誰か、部屋の中にいる様な気がする!」
震える声で、携帯にかかって来たA美さんに聞くと
近くのコンビニにいるという。
警察へ連絡してコンビニから出るな、
と伝えて友人が駆け付けるとコンビニ前にはパトカーが来て、
A美さんと警官が話していた。
A美さん達と合流してアパートへ行くと、先に到着していた警官が
「空き巣のようなんだが…ちょっとねェ…」
と、何とも言えない表情で言う。
部屋へ入ってみると、恐れていた様な、
メチャメチャに荒らされた様子はないが、
ただ、物凄い異臭がしたそうだ。
侵入者は、部屋へ放尿し、A美さんのベッドと下着に
体液をかけていたらしい。
その状況から、A美さんが帰宅した時に、
部屋にいた可能性も高いという。
「部屋のドアを見た時なんだけど…」
部屋番号を確かめた時、
何か違和感を感じたA美さんだったが瞬間にわかったのだという。
「用心のため、留守中も部屋の灯りは点けているのね…」
ドアスコープから部屋の灯りが光ってるのが、
一瞬消えたのだそうだ。中からドアスコープを覗いたので、
外から見えてる部屋の灯りが顔のせいで、
消えたと思ったのだそうだ。
一番怖かったのは、部屋の前から、
アパートの入口へ戻る時だったという。
「こっちが気付いた事を、向こうが気付いたら…」
さりげなく、郵便物を取りに行く振りをして、
逃げようと思った。
出口に近い郵便受けへ行く時、
ドアスコープからこっちの様子をジッと息を潜めて見ている視線を想像して、
走り出したいのをこらえるのが大変だったという。
今にもドアが開いて、誰かが飛び出してくるんじゃないか…
当然、そのアパートはすぐに引っ越した。
半年たった今も、犯人が捕まったという連絡はないそうだ。