俺の不倫相手を名乗る女が、自宅に押しかけてきたとき。
今でも、たまに夢に見てうなされることがある。
転勤したばかりのときに、転勤先の他の部署の女に一目惚れされて、
そいつが3ヶ月の間に妄想を膨らませて、うちに襲来。
残業で遅くなった日とか、飲み会とか、そういう日に密会してたことにされて、
メールやら着信やらも偽装されて嫁に報告。
それも、本当に巧妙で、俺自身も妄想に取り込まれそうだった。
妊娠中だった嫁は、そのまま入院することになって、
俺の不注意から、嫁と子供まで危険な目にあわせて、本当に申し訳なかった。
お灸どころか、警察も弁護士も入れたけど、頭のおかしいやつに正攻法じゃ勝てねーの。
会社にいたときは、普通の女だったんだよ。仕事はそこそこだけど、
色白で守ってあげたくなるタイプの。結構人気もあった。
でかいだけが取り柄の俺がロックオンされたのは、
当時、つわりがひどくて、毎日食べたいものが変わる嫁のために、
せっせと手土産を持ち帰ってたことを『どんなわがままでも聞いてくれて、
ものすごく尽くしてくれる理想の人』なんてこじらせたから。
この人なら、私を丸ごと愛してくれると思った。とか言われて、背筋が凍った。
結局、念書やらなんやら書かせてるうちに、こいつは私の思い通りにならない→イラネ。
で、あっさり執着されなくなった。
その間に、異動願いが受理されて、飛行機の距離にまた転勤。
そいつが今、何をしているのかは、知らないが、
とにかくいまだに白い髪留めをしてる女を見るとドキッとすることがある。