俺は昔も今も美容院じゃなくて床屋派
だけど大学の頃、洒落ッ気出して
一度だけ美容院に行ったんだ。
初めての美容院で緊張する中
「ご指名は?」ときかれた。
初なので指名なんかあるわけなく、
「誰でもいいです」と答えたら
「ちーっす!」とチャラ男美容師が現れた。
仕方なくそのまま切ってもらうも、
どうにもこのチャラ男、ムカつく。
タメ語なのは目をつぶるとして、
トーク中もなんとなく俺を見下した感満載だった。
そしてその失礼なチャラ男は言った。
「お兄さん、はっきり言うよ?
近い将来ハゲるよ、残念だけど。
結婚するなら早めに頑張りなよ。」
俺、絶句。
美容院に行く前は、
天使のような可愛い美容師さんに
念入りにシャンプーされちゃう俺。
個人的にメアドとか渡されたら、
営業なのかマジなのか、どうやって見抜こう?
きっともう床屋に戻ることはないだろうと思ってたのに
何が楽しくてチャラ男に髪を触られ、
不愉快なチャラいトークを笑顔で聞き、
挙句侮辱されなきゃいかんのだ。
しかし当時の俺に
反論する勇気も切れる勇気もなかった。
結局美容院は一度きりで、
次の回は床屋に戻った。
24歳の頃、正月に実家に帰った。
海外出張で転々として、久しく会っていない
年の離れた兄貴と再会し、愕然とした。
兄貴、田原俊彦みたいになってた。
そういや爺ちゃんツルっぱげだったっけ。
俺の心に、一度だけ行った
美容院のチャラ男の一言が蘇った。
「近い将来ハゲる。結婚するなら早めに。」
会社の同期が遊びほうける中、
俺の生きる姿勢は変わった。
40くらいまでいろんな女の子と遊びまくって
40で二十歳くらいの女の子と結婚するんだ!
35まで遊んで20代の若い嫁をもらう!
そんな戯言を聞きながら、俺はやつらとは違った。
自分の賞味期限は30歳、
30過ぎたらただのハゲ。
もしかしたら25でハゲるかもしれない。
35歳で温水状態かもしれない。
デコの後退に怯えながら、
堅実に生きる努力をした。
できれば25、せめて27くらいまでに
結婚しなければ!
幸い、女性も結婚を意識し、
人によっては25過ぎて焦り始めるので
結婚願望強いです。
早く結婚したいです。
できれば27までに。
そういうと不思議とモテたし、
寄ってくる女性も家庭的で尽くすタイプが多かった。
告白してくれた同い年の
可愛い女性と付き合うことになり
今年の春の彼女の誕生日に
結婚を申し込もうかなと思っていたら
バレンタインに逆プロポーズされたので記念カキコ。
めでたく27で結婚できそうです。
朝起きると枕の抜け毛が増えてる気がするけど、
彼女には内緒。