ある女性に娘が生まれた時の話。
娘はすこぶる健康だが、口蓋裂だった。
軽いやつだけど、他の子と比べればハッキリ解るくらいに唇が割れてしまっている。
そんな訳で、出産に立ち会った夫と終わってから病室に駆けつけた実両親は、
暗い顔して娘を抱くその人を励ましていた。
今の医療技術ならきれいに治るよとか、
他に疾患は無くて健康なんだから有難いことだとか、
必死に慰められるほど彼女の気持ちは暗くなっていったそうだ。
ちゃんと生んであげられなくてゴメンね、
これからの治療で痛い思いしたら可哀想…と、
マイナスな考えばかり堂々巡りしていたところで、
夫両親が遅れて登場。
良ウトメさんだったが故に、
どうにも申し訳ない気持ちだった彼女だが、
赤ちゃんを見たトメさんはくわっと目を見開いて駆け寄ってきた!!
「まあー、まあー、まあ!!ピンク色で!!プクプクで!!見てよお父さん、
あのお口、パタ○ロちゃんにソッッックリ!!」
ポカーンとする面々など目に入らないトメさん、
早くも赤ちゃんにメロメロで喋りまくる。
「かわいいわね、女の子ですってね、健康でかわいいなんてお手柄よ嫁子さん!!
あ、お手柄って男の子に言うんだっけ。どっちでもいいわ、お手柄よー!」
ここで彼女は、
トメさん以外に誰もまだ娘を可愛いと言ってないことに気づいた。
せっかく生まれてきたのに、自分たちは何をしていたのだろうと猛省、
改めて赤ちゃんを見たら不思議なことに、
「ハンデを持つ哀れな子」ではなく
「丸々とした健やかな赤ちゃん」に見えたそうだ。
そこからは可愛い、顔が丸くてほんとパタ○ロに似てる、
大物になりそう、などと盛り上がり、
誰も後ろ向きなことを言わなくなったそうだ。
以上、つい最近聞いた、私が生まれた時の話です。
パタ○ロが舞台化するってニュースを見たあと、
「主演のひと、ソックリだねw」と母に言ったら「あんたのほうが似てたよ」と、
上記の話をしてくれました。
小さい頃に通院してたのは朧気に覚えていたけど、
口蓋裂だったとは知らずびっくり。
私が覚えてないことに母もびっくり。
呆れられつつ、そういうわけだから
父方お祖母ちゃんには今以上に感謝しなきゃねと、母娘で語らいました。
年末年始には祖母孝行しようと思います。