昔のことなんだけど当時仕事が信じられないほど忙しくて、
その日も日付が変わってから家に帰った。
家に入ったら案の定嫁と娘が寝ていて、
忍び足で台所に向かったら、
テーブルの上に千代紙で作られた
いびつなハート形の折り紙が置かれていたのを見つけた。
娘が折ったんだろうと和んでいたら、
折り紙をよく見てみると
「ひらいてみてね」
と書いてあった。
中を開いてみると千代紙の裏側に
「おしごとがんばったね おかえりなさい」
と書かれていて、俺の名前がシールで貼ってあった。
身体だけじゃなくて精神的にも追い詰められていたから、
何気ない娘の言葉が沁みて喉の奥がキュッとなった。
一人で飯を食べていたら嫁が起きてきて、
相談や愚痴に付き合ってくれた。
俺が飯を食べ終わったら、
「自分の身体をあんまりいじめないで、給料が下がっても私がなんとかするから、
無理しないで転職してもいいんだよ」
と言ってくれて、ぼろぼろ泣いてしまった。
結局そのまま働き続けたけど、
しばらくすると忙しさの波が引いて穏やかな環境になり、
帰宅時間も早くなって三人で夕飯を食べられるようになった。
あのときの嫁と子どもの言葉は一生忘れられないし、
なんというか本当に結婚して良かったなと思った。
明日が結婚記念日だから記念に書き込んでみました、