貧乏院生で食費の足しにアパートの空きスペースで
ぷち家庭農園作らせてもらってたときの話。
水やりついでにアパート周りの掃除してたら
ちょうどアパートの手前に救急車が止まった。
救急隊員が降りてきて前方に無断駐車があって進めず、
Uターン出来るほどの道幅もないので
アパートの敷地をUターンに使わせて貰えないかと頼まれた。
大家さんが了承してくれたのでいつもは片方しか
開けてない正門を開けて
Uターンだと遠回りだし良かったら裏門から
抜けて下さいって言ったのね。
通り抜けるには私のぷち家庭農園が邪魔だったんで
「これ(家庭農園)は気にしないで良いんで」って
言ったら凄い何回も頭下げて出来るだけ
野菜轢かないように
通り抜けてった。
殆ど被害らしい被害もなかったのに
次の日その救急隊員が来て、
菓子折りと鉢植えの植物持って来た。
丹精こめて育てた花の代わりになるとは思いませんが
良かったらこれでも植えて下さいって。
隊員さんイケメンだし、
深々と頭下げられるし予想外すぎてパニクって
「昨日轢かれたのはジャガイモなんです!
茎はおれちゃったけどたべれそうなくらいには育ってたので
掘り起こして食べちゃいましたから気にしないで下さい!
茎と葉もちゃんと肥料になりましたから!
肉入ってない肉じゃがでもジャガイモ美味しかったです!
十分食べれました!大丈夫です!」
って感じのことをすんごい早口で返してしまった。
恥ずかしすぎてとりあえず笑って誤魔化したら
隊員さんも笑いながら
「一人で花を買うのはどうにも恥ずかしくて
ハーブ選んだんですが、食べれるそうなのでこれ良かったです」
ってフォロー(?)してくれた。
これだけなら丁寧で親切な隊員さんと
ファビョって恥かいただけの喪女なんだけど
救急車に乗ってた方は凄い近所の方で親戚が集まってたときに
倒れたらしく、救急車に乗ってた本人とその家族だけでなく
連日親戚の誰かしらが菓子折りやらなんやらを
持って何度も御礼を言って帰っていった。
あそこの子は苦学生だという噂を聞き付けたらしく
私が大学院を出るまでの2年間、時折アパートにきては
「作り過ぎた」「貰い物だけど私達は食べないから」と言って
食べ物をおいていってくれた。
金も時間も余裕もなかった院生活ラスト一年は
彼らの親切がなかったら乗り越えられなかったと思う。