普通の男の人と金持ちの娘さんが結婚した。
それ自体はよくあることなんだろうけど、
娘さんの家に合わせて豪華な結婚式をすることもなく、
娘さんの親から家や車を贈られることもなく
二人はごく普通に暮らしていた。
ある日、お嫁さんが旦那さんに
「自社ビルってあると仕事で便利なんじゃないの?」
と聞いてきた。
旦那さんは社員を数人抱えた
自営に毛の生えた程度の会社経営をしていた。
旦那さんは
「今はせっかく元請けになれそうでも
責任が取れないと困るからと言われて
間に一社入れられてしまう。
ビルがあれば信用がついて
元請けから外されることもなくなるかもね」
と答えた。
お嫁さん
「どこにどんなビルが欲しい?」
旦那さん
「○○町あたりに○千万くらいの小さな建物が現実的かな」
数日後のドライブ中に、お嫁さんがビルを指さし
「あれとこれ、どっちがいい?」と聞いてきたので、
旦那さんは
「どっちもいいな。いくらくらいするもんなんだろうね」
と答えた。
旦那さんにとってはどれも夫婦の雑談のつもりだった。
その後旦那さんは、お嫁さんからのプレゼントと称されて
ビルの名義変更の手続きをすることになる。
実はそのビルはお嫁さんが結婚前に
「すごく安かったから」と転売目的で買ったビルだった。
普段から質素で
衝動買いなんてしたことのないお嫁さんだけど、
価値が上がる物には大枚をはたいて
衝動買いしてしまうんだそうだ。
「自社ビルくらいで信用が買えるなら安いもの」
「税金が年にいくら、維持費が年にいくら、
築○年だからもし取り壊すとしたら○年後くらい、
その費用はいくらくらいだから注意してね」と
お嫁さん談。
「金持ちと言っても、嫁の実家は豪邸でもなかったし
普段の生活はとても質素なんだ」
「金持ちの考え方は俺ら庶民とは別の次元だと思う」
と旦那さんにはけっこう衝撃的だったお話。
お嫁さんは
「持参金も嫁入り道具もいらない。
身ひとつで嫁に来てくれ」と言ってくれて、
実家を羨むことも妬むこともしない
旦那さんが好きで結婚したんだそうです。
旦那さんは
「お金も物も無くなるもの。
親からの遺産は教育と信頼と人脈」と言って、
共働きで頑張ってるお嫁さんが大好きだそうです。
そんなおとぎ話みたいなお話でした。