付き合って三年、結婚話も出始めていた彼氏の地元に初めて行って
いろいろ案内してもらってた時、最後に
「ここ、うちの高校の奴がよく来るとこ。俺も昔は通ったんだー、
マスターとも仲良くてさ」という喫茶店に連れてってくれた。
中に入ると、同い年ぐらいの女性が二人座ってて、
彼を見て一瞬驚いた後
「こんにちは、久しぶり」
と挨拶したんだけど、彼はそれを無視。
強張った顔で一番離れた席につき、
注文を済ませた後、何か思いついたのか
急ににやにやした顔で私に「ついておいで」と言い、彼女たちの席へ。
一人を指さし、
「この人さー、中学高校と同じ学校だったんだけど、俺のこと好きだったんだw
中学ん時にちょっと仲よくしてたら、何か知らんけど手紙とかくれて、
困っちゃったんだよね迷惑でww」
と大きな声で語りだした。
言われた方の人は、きょとんとして「そうだっけ?」みたいな反応。
それでもしつこく同じことを言い続ける彼氏の表情が異様な感じで、
大声も恥ずかしかったので「もうやめてよ」と何度か言ったけど、やめない。
そうしてるうちに、言われてる女の人も腹が立ってきたらしく、
「悪いけどあんまり記憶にないわ。○○君にとっては大事な思い出に
なってるみたいだけど、ごめんね。
私が○○君に関して覚えてるのは、中学の時はそれなりに仲よくしてたのに、
卒業前に彼氏ができたって言ったら急に私の悪口を言うようになって、
高校に入ったら周り中に悪口言いふらしてたことかな」と。
彼氏は真っ赤になって「嘘つくな」とか喚き始めて、結局マスターに
「お金は頂きませんから」と店をつまみ出された。
どっちの言うことが本当なのか、
正確なところは私には分からないけど、
もう無理だった。
あと二泊する予定だったけど、その日のうちに一人で地元に帰りました。
その後、「何であんなことで嫌われなきゃならないんだ」とか
「俺よりあんな奴の言うことを信じるのか」とか、
あー、問題のポイントが分かってないんだなってことをたくさん言われたけど、
とにかくもう、店で興奮して大声出してた時の歪んだ表情が頭から離れなくて、
「もう私が全面的に悪いってことにしていいから」と頼み込んで別れてもらった。
彼と私は大学のサークルで知り合ったんだけど、
大学時代の仲間には案の定、私の悪口を言って回ってたみたいです。
でもその時も、やっぱり、聞いた人の方が引いちゃうような異様な興奮状態や
口調なんかがあったらしく、
「あの人ちょっとおかしいよね、別れられて良かったね」と言ってくれた人も
たくさんいて、結果としてそれで私が社会的な立場を悪くしたり
友達をなくすようなこともなく、まあ無事に別れられて良かったなって感じでした。