外資系の会社員である私は
タイの田舎に仕事で滞在していた時
やけに目を惹くナイフを見つけました。
店の主人にナイフの由来を聞いてみると
主人は長々と話てくれました。
「そのナイフは人を殺したことのあるナイフだ
昔この村が貧しかった頃、口減らしの為に村で使い回した物だ。
それは村長の家に保管されていたのだが村長の娘が遊び心で
触ったところ、父・・つまり村長を殺してしまった」
「その娘が言うにはナイフを鞘から取り出したら
無性に一番愛している人を殺したくなったらしい」
絶対にそのナイフを鞘から取り出さない事を強く言われ
私はナイフを売ってもらいました。
それから1年後私は日本に帰りました。
しばらくして旧知の友であるBが私の家で
パーティーをしたいと言いました。
BとBの妻と私と私の妻の4人は元々仲が良く
たまにこうやって家族ぐるみでパーティーを開くのです。
B達は久しぶりにやってきて色々と話をし
時間は過ぎていきました。
Bの妻も私の妻も寝室に入った頃に
私はつい酒の勢いでBを私室に呼び
ナイフを見せびらかしてしまいました。
しかしBはさほど興味も無さそうで私達は直ぐにロビーに行き
懐かしい話で盛り上がりました。
ふと気付くと私は寝てしまっていたようです。
周りは真っ暗で誰かが電気を消したようでした。
私は自分の私室に行きナイフを鑑賞しようと思いました。
しかし・・私室の扉が開いていて中に行ってみると
ナイフの入っていた引き出しも開け放たれていました。
焦りながらナイフを探してもどこにもありません
私はBが居なくなったのに気付き
すぐさまBを探しに行きました。
「キャーーーーーーーーー!!」
その時大きな悲鳴が聞こえました、
すぐさま悲鳴のあった所へ行ってみると
時既に遅し・・・
Bが部屋の前で血まみれのナイフを握っています・・
Bは泣いていました、
「ごめんよ・・ごめんよ」
と私に向かって泣いていました。
騒ぎ声を聞いた為か後ろからBの妻が声を掛けてきました
「どうしたの?あなた?」
Bはただ泣いていました。