小さいころ、親どうしが仲が良かったターくんという幼馴染みがいた。
大きくなったら結婚しようとか言ってよく遊んでた。
小学生高学年のころになると、異性と遊ぶということに抵抗を感じて、
疎遠になっていた。
ターくんは両親が離婚し、中学にあがる前に転校した。
私は中学に入ったころからひどいいじめにあうようになり、
もう毎日自殺を考えるほどに病んでいた。
田舎なので高校に進学しても、ほとんどメンバーは同じで、
状況は変わらず凄惨ないじめは続いた。
一年の夏、突然ターくんが転校してきた。
お母さんが亡くなり、お父さんを頼り地元に帰ってきたようだった。
しばらく見ないうちに随分垢抜けていて、内心笑ってしまった。
でも、私はいじめられてる自分をみられるのが嫌で、
ターくんのことを知らないふりをしていた。
ターくんも私に話しかけることはなく、忘れたのだろうなと思っていた。
ターくんが転校してきてから一週間もたったころ、
いつものように昼休みにいびられているところにターくんが通りがかった。
ターくんはなにやってんだてめえら!
と怒鳴り、私といじめっこの間に割って入ってくれた。
私のこと覚えてたんだ、と本当に驚いた。
私は自転車置き場でこれまでのことを話し、
もう人生でこれ以上ないんじゃないかってくらいに泣いた。
ターくんはポンポンと私の頭を叩くだけで、なにも言わなかった。
その後でいじめっこのリーダーの彼氏がターくんを呼び出した。
しかし、ターくんは中学で空手をやっていたそうで、
いとも簡単にその彼氏や番格の二人を倒したそうだ。
程なくして、ターくんはヤンキーにも一目置かれるようになり、
男子の中心的存在になった。私へのいじめはいつの間にか無くなった。
しかしその事件のせいで、ターくんは予定していた
空手部の入部がふいになってしまった。
そのことを私は泣いて謝った。が、ターくんは、
気にすんな、俺が空手をやってたのはお前を守るためだったんだな笑
といい、
私の頭をポンポンと叩き、飲みかけのポカリをくれた。
その後、私とターくんは半年ほど付き合うこととなったが、
些細なことで別れてしまった。
あれから10年以上経ったが、いまもいい友達として付き合ってる。
私は地元の大学に行き、そこで出会った先輩と結婚した。
ターくんは地元でお嫁さんとセレクトショップを開業し、
私は旦那と一緒に、たまにそこで買い物をしている。
ターくん、今私は本当に幸せです。
でもこの幸せはきっとあの時のあなたのおかげです。本当にありがとう。
私があんなに泣いたのはあなたに話を聞いてもらったときと、
結婚式のときだけです。
本当にありがとうね。