4月に桜の咲く時期に合わせて結婚式をすることになった
ホントは結婚も式も来年の秋にする予定だったんだけど、
婚約者の祖父母の体調が思わしくなく、
動けるうちにと急遽決まった
12月、友達の間でその話をしてたとき、
友達が「髪長くてよかったねー」と言ってくれた
なんのこと?と思ったら、
結婚式のために髪を伸ばす女性が多いんだとか
私はくせ毛で、
伸ばさないと癖が出て手入れが面倒くさい
だから就活の時に
鎖骨あたりのセミロングにまで切ったあとは伸ばし続け、
4年でやっと癖の出ないロングといえる長さになった
一応式前に切りに行く予定で
カットの予約はとっておいたけど
「こればっかりは
お金をいくらかけたってどうにもならないから、
すいたり減らしたりしちゃダメだよ、
揃えるだけにしなよ」
「そうだよ、せっかく綺麗な髪なんだから
自分の髪でセットしなきゃ」
「いろんな髪型ができるね~」
と皆がアドバイスしてくれた
(そうなのかー、予め知っといて良かったな)と
心の中で思っていると、
急に頭の後ろにヒヤッとした感覚があり、
シャキッといい音がした
その瞬間、一人の友達が手を口元に抑え、
一人は手を前に伸ばして口元と手がワナワナ震えてる
もう一人は水を飲もうとした大勢のまま固まって
目をキョロキョロさせた
なんだ?と思って振り返ると、
髪の毛が何かにひっかかった
手で頭を抑えると、
これまで触ったことのないような
ザラッとした手触りがした
見知らぬ女の人がハサミで
私の後ろ髪の一部をうなじの位置で切っていた
ポカンとしていると、女の人の表情が崩れて号泣
状況について行けず、
喫茶店なのに床に髪の毛散らばっちゃったよ
これ髪すぐに切らなきゃいけない?
私の髪、今ひどいよねとそんな事が瞬時に頭を過ぎった
友達のほうが先に動いてくれて、
女の人を捕まえてくれた
女の人は号泣しながら謝ってたけど、
帽子をぬいだ頭は円形脱毛症で、
誰も何も言えなかった
友達は怒ったり心配したりしてくれたけど、
予約してたサロンの料金だけ立て替えてもらって
終わりにした
生まれて初めてベリーショートになった
婚約者とお揃いの髪型
未だにスカスカの髪に慣れないし、首が寒い
私よりも婚約者がショックを受けていて、
「いつ長さが戻るかな」って言いながら
頻繁に髪を撫でてくる
「大人になってから伸びる速度が落ちたし、
短いうちは癖ですぐみっともなるから
細かくカットしないといけないし、
10年はかかると思う」
と答えたら愕然として、
初めて取り返しの付かないことになったんだなと
実感した
成人はしてましたが学生だったこともあって、
最初に保護者の方を呼んだんです
そしたら保護者ではなく、兄が来られて、
まぁそこで察しはしたんですが、
家庭内が荒れてるようでした
私には姉の姪っ子ちゃんがいるんですが、
姪っ子ちゃんの友達の母親がすごいダメンズウォーカーで、
離婚再婚を繰り返しているらしく、
まだ小学生になっていないのに円形脱毛症になってました
それを思うと髪の減った頭を顕にして
顔を覆って泣くこの人も被害者なんだなと
罰する気にもなれず
また兄が病院に通わせているというので
サロンのお金だけ頂きました
お兄さんは100万包んで持ってきてくださいましたし、
婚約者にまでわざわざ頭を下げに来てくれて、
十分反省していると思います
何より「とんでもないことをしてしまった」と
自分を責める気持ちが
何よりの償いになっていると思います
それに髪の毛は伸びます
結婚式には間に合いませんが、
いつかは元の長さに戻ることもできるし
もしかしたら子供を産んだ時、
短くてよかったと思うこともあるかもしれません
塞翁が馬です
こんなことがなければ
ベリーショートを経験することも無かったですし、
1つ新しい世界観を得られたと思うことにしています