人の生活を覗き見してた話だから叩かれるだろうけど。
私は高校卒業後彼氏の部屋に転がり込み工場で
バイトをしながら生活費を稼いでいた。
工場の2階には倉庫があってその倉庫の窓は
道路を挟んだ向かい側にあるマンションの3階と同じ高さにあった。
夜のシフトで働いてる時休憩の時間に1人になりたくて
倉庫に行ったら向かいのマンションの家の中の様子が
見えて私はとても衝撃を受けた。
30代前半くらい?の夫婦2人が住んでいたのだけど
何に衝撃を受けたのかというとなんて事はない、
ただ2人が笑いながら話していたというだけ。
でも私には衝撃だった。私は毒親の元で育ち、
両親と兄含め家の中で誰かが笑っているという生活が無かった。
それが当たり前だった。
でもその時、今住んでいる彼氏の家でも楽しくて
笑うということがほとんどないことに気づいた。
彼氏は初めは毒親から救い出したいというスタンスだったけど
いざ一緒に住み始めるといつ爆発するかわからない人だった。
暴力こそ振るわれなかったけど襟のあたりを掴んで
揺さぶられたり耳を掴んで耳元で大きい声で怒られたりすることがあった。
でもそれは自分が一緒に住んだことによる
ストレスせいだと思っていた(彼氏にもそう言われていた)から
私が悪いと思っていたしだからこそこれ以上負担に
ならないよう生活費はちゃんと払わなきゃと思って
働いたお金のほとんどを家に入れていた。
でもその夫婦の笑ってる姿を見た時あれ?
私こういう風になりたかったんじゃなかったっけ?
と頭に浮かんで、彼氏に対して疑問を持った。
でも他に行くところもないし、
としばらくは何も行動できず時々倉庫に行った時に
見かける夫婦の姿を眺めているほんの数分を
救いにしてた。
(こちら側は暗くて夫婦からは見えなかったんだと思う。)
ある日も倉庫に行ったら、
夫婦の様子がいつもより明るかった。
赤ちゃんが生まれたんだ。
ベランダで遮られて
胸から上ぐらいしか見えてなかったから
奥さんが妊娠していたことに気づいてなかった。
その時の旦那さんが、
赤ちゃんを抱っこしながら太陽が顔から飛び出そうなくらい
笑っててなんか急に目が覚めた。
彼氏はたとえ私が彼氏の子供を産んでも
こんな顔しないな、と確信した。
そしたら急にもう彼氏と一緒に暮らせないと思って
彼氏の家から少ない自分の荷物を持ち出して
自転車でネカフェに行ってそこから別れのメールを彼氏に送った。
激怒してたけど無視した。
無視できたことに自分でもびっくりした。
でもその工場バイトは辞めたくなく
てネカフェ生活のことは隠してバイトを続けた。
だから覗きも続いてた。
奥さんは育児が大変そうで頭ボサボサで、
でもやっぱり時々笑顔になって
旦那さんはしょっちゅう笑ってて
こんな夫婦みたいになりたいって思った。
ネカフェ生活は狭かったけど
そんなに大変じゃなくてむしろほとんど
お金を渡していた頃よりお金が貯まったし
ネットし放題だからいろいろ情報集めて
アパート借りてカツカツだったけどなんとか自立した。
その後は自分の男を見る目に自信が無くて
あの旦那さんみたいな笑い方をする人を探し
そういう人はあんな奥さんが欲しいんだろうと思って
自分の髪型やファッションも奥さんみたいにしてた。
おかしいくらいあの夫婦像に
とらわれていたけど結果的には良い人に巡り会えて結婚した。
子供が生まれた時に
夫が太陽が顔から飛び出たみたいに笑ったから
なんかもうそれで今までの全てが報われた気がした。
今は家でもちゃんと笑えてる。
もう工場バイトはしてないし
結局あの夫婦の名前も知らないけど
幸せな家庭を覗き見したことで自分の未来が変わったと思う。
でもほんとにほんとにごめんなさい。
涙出た