ガツンとした衝撃じゃなくて
緩やかな衝撃だけど
大学入るまで野生児として
田舎で野放図に生きてきた
しかし都会の大学の雰囲気にのまれ、
デビューを図った
まあまあ成功し、
チヤホヤされる系の女子になれた
彼氏も出来て、
その人との結婚願望が強まった
私は一生懸命素敵女子になるべく頑張った。
部屋着もパジャマも常に可愛い今時のもの、
仕草や話し方、歩き方に食べ方、
話す内容も可愛く。
部屋は派手になりすぎず
センスよく素敵にして、
彼が来る時はほんのり石鹸の良い香り、
タオルもシーツもフワフワ、
こじゃれたカフェ飯。
水周りの掃除も完璧。
お仕事も男ウケが良く、
残業少なめの物をチョイス。
でもなんか振られた。
次の男にもなんか振られた。
私は暴れたりお金出させたりしてないよ
なのに最終的にみな他の女の元へ…
30を目前に私はどうでも良くなった。
あんだよばーかみんなしねちやって思って
10年ぶりにもう好きにする事にした。
メイク?日焼け止めでいいだろうが
服?どうせ制服あんだからTシャツでいいだろ
メシ?一食食べりゃ十分だろ あとは気分だよ
週末?溜め取りしたドラマ消化してるよばーか
部屋の中も本で埋まった
今までは
「ガリレオシリーズは読んでるー☆」
とか言ってたけど
本当は京極堂と山田風太郎が好き
汚いのは嫌なので掃除はしてたけど、
部屋中物で埋まった。
しかもマニアックなもので。
可愛さは姿を消し実用性のみで埋まった。
仕事は笑顔と若さが勝負の受付嬢から
本来大学で学んでいた建築系に転職した。
なのに彼氏は出来た。
不思議。
部屋に呼ぶ際も今までのように、
数日前から支度して
気を遣ってなんて事はせず普段通り。
朝までいたので朝食は出した。
私も食べるし。
味噌汁と麦飯と納豆
ほうれん草おひたし卵焼きだけ。
可愛くも何ともない普通のちゃわん。
箸置きだけ巨匠の物(趣味で集めてる)。
そもそも茶碗は私の分しか無いので、
彼氏に自分の分は100均で
買ってくるように言った。
そのくらいの気の遣わなさっぷりだった。
しかしそいつは暫くして
結婚を申し込んできた。
私はその後も
可愛らしさは捨て置いて適当にした
大切にされない価値の低い
小汚い安い女で良いと思った
男ウケを狙うのはもう飽き飽きしてた
で今結婚生活は続いて子供もいる
私は今の世間的に価値がある女性ではない
気の利いた今時のライトな話題も
流行の服ももう知らん
でも家族や友人から
大切にされているように感じる
20代あんなに頑張ったのは
何だったのかと思う
本当に頑張っていたんだよ
そりゃ自分がたいして良い女でもないのに
旦那や子供に過剰な要求はできないよ
なにも世間に合わせて
向かない事を頑張らなくていい
それやると滑ることもあるって分かったしね
てきとーでいい
本来の自分の方向で行った方が、
合う人達に出会える確率が
ずっと高いと思うし
それで「あいつはダサイ、カースト下位」
ってなってももうどうでも良いなあ。