海無し県から転勤で海有り県に行き、
スーパーで刺身の鮮度に感動して購入したら
これで腹下した
這うように市立病院に行き、
衰弱がひどくしばらく入院
食中毒の診断が出て保健所に通報が行ったらしく、
そのスーパーを調べたら食中毒菌が検出されて
スーパーは営業停止になった
しかし俺以外の中毒者は見つからず、
その後スーパーは営業再開することなく閉店した
その店は個人商店に毛が生えたような規模で、
オーナーが田中(仮)だから
「スーパーたなか」って店名
近所の人間は「今日たなかさんで特売」
っていうふうに親しみをこめて呼んでた
そんな地元民に愛される老舗スーパーを、
新参者が壊したように見えたらしいね
スーパー閉店の知らせが掲示されたあたりから、
職場の人間に無視や嫌がらせをされるようになった
露骨に「あんたのせいでたなかさんがなくなる」
「田中さんもういいご年齢なのに可哀相」
と言ってくる頭の悪いやつも複数いた
そいつらとは半年も修羅場やらかして
本社まで介入してきたけど、
最後は面倒になって転職して海無し県に戻った
オーナーの田中さん本人は俺の入院中に
毎日のように見舞いに来てくれて
「こんなことをしでかすような年齢になってしまった
と自覚したので、店を畳みます
迷惑をかけてしまって本当に申し訳ない」
と頭を下げて賠償にも応じてくれた
田中さんの孫が俺と同い年なんだけど、
この人もいいやつでちょくちょく様子伺いをしてくれた
にもかかわらず、正義感ぶった同僚の誰かが田中さんに
「あいつをとっちめてやった」
と社内トラブルのことを話したらしい
田中さんが慌てて
「あなたは被害者だから、気に病まないでほしい」
とフォローまでしてくれた
俺が退職することも誰かが伝えたらしくて、
田中さんと孫が餞別にといい日本酒を持ってきてくれた
3人でその酒を飲んでるうちに酔ってしまい、
俺が「○○県なんて嫌いです」とつい言ってしまったら
「図々しいかもしれないが○○県を嫌いにならないで、
また遊びに来て欲しい」と泣かれてしまった
俺も修羅場だったけど、
田中さん一家にとっても修羅場だっただろうなぁ
それからもう5年くらいたつんだけど、
今年最後の出張が○○県で、
当時の職場の近くに行く機会があったので
なんとなくスーパーたなかの跡地に寄ってみたら、
猫カフェたなかが建っててワラタw
仕事終わりに入ってみたら、
田中さんの孫(店長)と5年ぶりの再会w
田中さんも呼び出して、
田中さんが酒をやめたというので
茶を飲みながら夜通し語り明かしてきたよ
田中さん猫モフりすぎてうざがられてたw