俺の嫁なんか
9年9ヶ月前に山道に落ちてたのを拾ったし
雨にずぶぬれで要領を得ないし
怪しさ全開の小娘だったが
家に連れて帰って洗ってみたらこれが美人で
話してみたら礼儀正しくて頭も良くて・・・という
漫画化して欲しいくらいの笑える出会いだったよ。
今でも「おまえは俺が山で拾った」というのは
夫婦間の笑えるネタだし
友人にも結婚前後はその件で山ほどからかわれた。
恋愛中から新婚あたりまでは
奇跡の出会いというのは俺たちのことだと
浮ついた頭で何度も考えていた。本気だったw
今はさすがに落ち着いたが
嫁と二人で1歳になる娘をみていると
結局のところ俺には
こいつらがすべてなんだとしみじみ思う。
山の中の自然歩道で雨に降られてずぶぬれになってたのを
俺が車に乗せて友人と借りてた貸し別荘に連れて行って
風呂に入れたんだよ。
雨具も持ってなくて
5月の雨は冷たいから危ないところだった。
防水してないリュックだったから着替えが全滅で
女友達二人に頼んで替えの下着借りて
嫁が恥ずかしくないように
別荘の広間に三人分の下着を混ぜて干した。
壮観だったw
でもさばけた女友達だったから
どっちの下着を貸したかサイズの話で盛り上がって
大いに笑ったいい思い出だ。
甘い装備で山道を歩くことを怒りはしたものの
聞けばそれなりの理由があってのことだったし
こっちは男も女も全員26~7歳で
嫁は当時18歳の大学生だったから
別荘のアイドルみたいに可愛がられて
それがきっかけで付き合うことになった。
美人というのは
あくまで俺の好みに的中したということであって
世間ではどうなのかは知らないけれど。
嫁が山道にいた理由は
簡単に言えば重度の5月病ということになるかな。
大学がつまらないので一人旅をしようとして
雑誌か何かでアウトドアの装備を揃えて
いきなりの登山は怖いので
北日本某所の紅葉と温泉の名所にやってきて
そこで山歩きを楽しもうとして
雨に降られてピンチになったということ。
これだけだと馬鹿女だし
当時の俺たちも最初は呆れたわけだが
嫁には嫁なりに
そういう無茶する心境になる事情があった。
俺を含めて別荘には男3人女2人がいて
嫁が気持ちを開いて口が軽くなって
事情がわかってきてから
みんなで励ましたり相談に乗ったりした。
嫁の述懐では初めて会う知らない大人が
真剣に話を聞いてくれて感激したそうだ。