白い砂浜で、言葉の通じない女の子と喋る夢を見た

俺が8歳の頃、
美しい海辺のハイビスカスに囲まれた白い砂浜で、
言葉の通じない女の子と喋る夢を見た

彼女は必死に俺と打ち解けようと
色々な話をするんだが、俺はその子の言葉が分からない
それでも2人ずっとおしゃべりしてた夢を観たんだ
それが始まりだった

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それから20年、社員旅行で南の島へ
沖縄旅行の初日の夜だ
俺は沖縄は初めてだった
初日の夜から会社の同僚と酒飲んで歩いて、
たまたま行ったキャバクラに同僚がハマり込んだ
俺は付き合いきれなくてなって、1人ホテルに帰った
そんな時に出会ったんだ

繁華街から離れてホテルに帰るまでの暗い道を、
縮こまった姿の死にそうな顔した女の子が歩いてる
顔は柴崎コウそっくりだ

その時は暗くて、見た目はハタチくらいに見えたんだよなぁ
俺は酒も入ってたけど、その子のあまりに死にそうな顔をみて、
あまりにも苦しそうなその子に声かけたんだよ
本当にこの世から消えてしまいそうな、
なんかそんな感じのただならぬ雰囲気を感じたんだ
君は凄く可愛い、何があったのって

弾かれるように目を開いて、その子が答えたんだ

「貴方は何処から来たの?」
「どうして私に可愛いと?本当に?」
『可愛いのに可愛いと言ったら問題なの?』
『東京から社員旅行で来たよw、ちょうど会社の同僚と飲んでて、
つまんなくなったから1人でホテルに帰るとこ
そうだ、ジュースでも奢るよ、何が飲みたい?
コーヒー飲む?』
「コーヒー飲めないさー、お茶なら飲める」
『ロイヤルミルクティーでいい?
俺は酔い覚ましにコーヒー飲むわ、
君はこれから何処行くの?
時間あるなら、ちょっと話でもしない?
もし行きたいところがあるなら、連れてってあげる』
『お金とかは全部俺が出すから、そういう事は心配しないで
嫌なら帰っていいからさ
家までのタクシー代も出すよw』
こんな感じで、俺の泊まってるホテルの方へ
とことこ2人で歩き出したんだ

「おじさん、なんでそんなに優しいか?
内地の人っぽくないさー、東京の人ってみんなお洒落で冷たい違う?」
俺がおじさん?
まあ28は、20ぐらいの子からしたらおじさんだよなぁw
お洒落じゃない?
まあ会社の旅行だし、TPOがあるだろ
そんな浮かれた感じに思われたくもない
冬の沖縄だし、なんか旅行で無理に弾けてるようなのは嫌だし
東京は冷たい?
まあそんなイメージなのかな
俺は下町の育ちだし、
町内会とかも元気なおっちゃんやおばちゃんが多くて、
みんな声かけてくれるような場所だけどなぁ
今まで住んでて人が冷たいだなんて思った事もない
「女の人に絶望してる顔してるさー
可哀想だからお話するよー」
女に絶望?
たしかに君に会う前に7年付き合って同棲してた彼女と
半年前に別れたが、その彼女に酷い事されて別れたわけじゃない
そもそも君が凄く死にそうな暗い顔してたから、
俺から声かけたんじゃねーかw
まあいいや

可愛い女の子と初めて来た場所で、
なんか仲良く話せた事が素直に嬉しかった
冬の沖縄の夜は、内地に比べれば全然暖かい
その日は月も星も綺麗で、透き通るような空気の夜だったのもあって、
本当に映画のワンシーンみたいな夜だった
酔いもあって、本当に心地の良い夜だった

『内地、東京には行った事ある?
雪とか、富士山とか見た事ある?』
「内地には修学旅行で行ったさー
雪は見た事あるよ、九州で見た、
東京には行った事ないねー、名古屋はある、富士山は見た事ない」
『富士山は大きいよ、そうかー東京には行った事ないんだね』
そんな話をとりとめなくしながら、自分が泊まってるホテルに向かって歩き出したんだが….
あんまり月と星が綺麗だから、港に行きたくなったんだよね
星空と、海が2人で観たくなった
東京湾の星空なんて月以外に少し星が見えるだけで、
夜景は確かに綺麗だし見事だけど、
その灯全てに人間がいるなんてのはちょっと冷める
せっかく南の島に来たのだし、
可愛い女の子と初日で出会えてこうやって歩いているのだし、
泊まってるホテルから港なんて歩いて5分くらいの場所だしで、
港に向かって2人で歩き出したんだ

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「歩くの難儀よー、車もあるし、わったーお酒も飲んでないから、
そこに2人で行こうねー」
『おいおい、初対面だよ、君の車にいきなり乗るっておいw
しかも俺酔ってんだよw
危ないだろw
港まで歩いてちょっとだし、良いじゃん』
「車を留めてるところすぐそこし、おじさん変な人けど悪い事しないでしょ?
会社の旅行で悪いこと出来ないさー
港じゃ灯も多いし、月と星空と海が観たいんでしょ?
連れてってあげようねー」
沖縄の女の子はグイグイ来るなーなんて思ってwまあ俺も酔ってるし、
これでなんか変な所に連れてかれてもしょうが無いなーなんて思いながら、
まあ折角の申し出だし、なんか女の子にそこまでされるのも嬉しいし、
そのままその子の車に乗ったんだ
その時に8歳の頃夢を思い出したんだよね
いきなり思い出した
すっかり忘れてたんだけどw
その子と話して車に乗る瞬間に、思い出したんだ

『俺は28だよ、君にはおじさんに見えるかもしれないけど、
若い子におじさんおじさん言われるとちょっと傷つくわw』
「28?本当に28なの?50歳ぐらいに見えるさー28だなんて絶対嘘」
50!
俺ってそんな風に見えてんのw
まあでも暗がりだし、しょーがねーかw
いやでも20代相応だと思うけどなぁ
いつも会社や仕事先では20代前半に見られてるのが
逆にコンプレックスだったし、50だなんて今まで他人に言われた事ないよw
『君は20ちょうどくらいだから、すごく上の人に見えるんだろうけどw』
「20?20に見えるの!嘘でしょ!
おじさんは嘘つくのー?わったーもうすぐ27よ」
『はい?歳1つしか変わらないの!
嘘でしょ?どうみても20くらいにしか見えないけど?』
なにコレ
なんかもう2人で笑えてきて笑えてきてw
そんな感じで車内で打ち解けながらその子の言う星空と海が
綺麗な秘密の場所とやらに向かって行ったんだが…..
車に乗って15分くらいした後、その子が急に真面目な顔して不思議な事を言うんだ
ねえ、小さい頃に夢を見た事あるかって

その子が俺に言うには、7歳頃に不思議な夢をみたと
砂浜の流木の上で、歳の同じくらいの男の子と、
海の話や船の話や家族の話をする夢をみたと
そしてその男の子がこう言ったと
君の夢は僕だけが叶えるよと
不思議な話だ
でも俺もそう言う事を夢の中で行った覚えがあるんだよなぁ
僕が迎えに行くとか、君の夢を叶えるとか
不思議な話だ

同じ夢をみた話をしたちょうど5分ぐらい後、
その子の言う秘密の場所に着いたんだ
車を止めて、ほんの少しだけ藪を越えて、
本当に歩いて1分ぐらいの場所に其処はあった
本当に夢で見た景色のまんま
月が消えて人工衛星すら見える満天の星空と、
流れ着いた流木と白い砂浜と、星明かりに照らされた
赤いハイビスカスの夢でみた場所が、そこにあったんだ
夢や運命なんて信じないと思ってたんだけどなぁw
その時に出会った女の子がウチの家内です
沖縄に来て、その子と出会ってたった1時間くらいでしたが、それで結婚を決めました
そんな話です

今の俺はマグロ船の船長をしています
子供も3人、本当に可愛い子供達にも恵まれました
島の家族に囲まれて、本当にNHKのテレビ小説の登場人物なんじゃないかと思うくらい、
ドラマチックな毎日です
本当に幸せです

ウチの家内は繁華街で遊んだり仕事する子じゃなくて、
たまたまその時に親に頼まれてお店に魚届けに行った、
ただそれだけだったんだよ
観光で来てた内地の酔っ払いに絡まれて逃げて嫌な思いをしたその直後に、
たまたま俺と出会った
ただそれだけなんだ
俺も酔っ払いだったんだがなぁw
ただ旅行先のキャバクラで調子の良い事言い回る同僚と、
お金に群がる女の子達みて反吐吐きそうな気分になって、
店から出てサラリーマンなんて馬鹿馬鹿しいなと思ってた、
ただそれだけの偶然

同じ夢を同じ頃に観たのも偶然
同じ景色を観たのも偶然
家内は沖縄の漁師の5人姉妹長女で
うみんちゅに認めて貰うのは本当に大変だったけど、だけど頑張ればすぐだった
苗字も違うのに勝手に向こうの親が後継者で届け出してw
本当に笑ってしまうよw
偶然がここまで重なったら、運命を信じて突き進むしかないじゃないw
長女の誕生日が死んだ親父の誕生日と同じなのも、
ウチの家内が結婚前に東京の実家に初めて挨拶きた時に降った雪が、
ウチの家内が初めて触った雪だったのも偶然
亡くなった祖母が癌で死ぬほんの最期の調子の良い時に、
沖縄の俺の為に結婚式に来れたのも偶然だし
ただその偶然がこれだけ続くと、運命を感じるよ
結婚して本当に良かったし、これからも子供達が
この世界で素晴らしい奇跡や運命としか言えない偶然を
大切にしてくれたら、それでもう親としては充分です

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