姉が子宮外妊娠で入院、手術。
卵管が破裂していて腹腔内に大量の出血があり、
もう少し処置が遅れれば死んでいたかもしれなかった。
(元)義兄は前の晩からおなかを抱えて
苦しんでいる姉を
「友人も一緒でどうしてもキャンセルできないから」
と言い訳しながら、
早朝からゴルフに出かけてしまったらしい。
姉は隣人に助けを求めて救急車を呼んでもらったそうだ。
その経過だけでも噴飯ものだが、
子宮外妊娠の原因がクラミジア感染で、
感染源が元義兄の夜のお店通いだと判明。
それを姉から聞いて、温厚な父がぶちきれた。
家族から見てもとにかく穏やかな人で、
暴力はおろか声を荒げたのも記憶にないほどの父が、
怒りで蒼白になりながら背筋を伸ばして
「…殺してやりたいね」
と口にした。
あの時の父の姿は忘れられない。
その後、冷静になった父はもっと怖かった。
話し合いと称して相手を適度に怒らせて冷静さを失わせ、
自分の思う方向に相手を操って徹底的に窮地に追いやる。
相手を追いやるためにはお金も人脈も知識も総動員する。
最後の方では、父にとって元義兄を合法的に破滅させること自体が、
姉を救う手段ではなく目的になっているかのようだった。
結果的に姉は、元義兄と結婚してからの
すべての財産(預金や家)を慰謝料や養育費、
財産分与等で手にして離婚。
元義兄は信用も職も家も家族も失ったし、
器物損壊や傷害の前科もつけられた。
これ以上やられるとこっちにも累が及ぶ、
とびびった元義兄親が元義兄とともに遠くに引っ越したので、
姉も安心できた。
頭が良くて人脈のある人間が冷静に対処すると、
ここまで相手を操って追いやることができるのか、と思った。