昔の話
新入社員時代のこと
ちょっと好きだなと思っていた数年上の男性先輩が、
ある日真っ青な顔で出社してきた
皆心配して色々聞くけど先輩は答えない。
早退まで促されていたがそのまま仕事をしていた
んで昼休憩の時、給湯室で吐いている姿を私が発見。
さすがに声をかけて、どうしたのかと聞くと、震える声で
実家の事業が失敗して借金が出来た、自分も連帯保証人で返済義務がある、と
いくらなのか聞いたら5千万だった。
その日は金曜だったので、明日実家に帰って親と
今後を話し合うんだと言い、誰にも言わないでと頼まれた
勿論です言いませんと答え、私はその日の午後、
体調不良を訴えてとっとと早退、その足で銀行を回った。
翌日土曜日、先輩の住む独身社員寮に朝の4時に突撃、門の前で待機
6時頃に先輩がフラフラ出てきたので声をかけてボストンバックを渡した
先輩はぽかんとして何、何?と聞いてきたので、
「これ5千万入ってます。こないだ宝クジ当たったんです。
私には身の丈に合わないお金で持ってるだけで怖いです。
これで助かる人がいるなら使って欲しい、
お願いします持って行って下さい。私これいりません。」
そう言って押し付けた。
少し押し問答があったけど、
最終的に先輩は恩は忘れない、と言ってバックを受け取って走っていった
さてその後先輩はそのまま会社を退職した。
私はまぁそうなるかーと思ったが金あっても怖いのは本音だったから
別にいいやと思った、でもだいぶ落ち込んだ。
見返り期待した訳じゃないが、何も私に連絡なかったし。
と思ってたら2週間後の日曜昼、
私の住む女子寮の前で先輩に待ち伏せされた
カフェに移動したところ封筒を渡された。
中身は5千万の小切手と現金10万円。
結局遠縁の親戚に立て替えて貰えたんだそうだ。
あなたのお陰で助かりました。こんな大金を有難う。本当に有難う。
と涙目で繰り返された。
10万円増えたのは心ばかりのお礼だと。
先輩は実家に戻って事業を継ぐそうで、
丁寧に別れの挨拶をされた。
頑張ってください、と答えた。その後先輩とは会ってない。
さてカフェの会話は女子寮から後をつけていた
物好き女子2人組にしっかり聞かれていた
修羅場も修羅場、噂を会社中に広められ、金持ちはいいねと
揶揄されたかられ奢らされ、知らん人まで話しかけてくる始末
怖すぎて退職して会社関係の人とは縁切りして遠方に引っ越した。
実家を出た一人暮らしで本当に良かった。
当時は20代前半の小娘だしマジで怖かった。
尚その後マンション買って金は全て消えました。