母子家庭でキュウキュウな暮らししてたんだが、ある日お袋がちょっとかっこいいポロシャツ買ってきた

小3の時の話。

母子家庭でキュウキュウな暮らししてたんだが、
ある日お袋がちょっとかっこいいポロシャツ買ってきた。
はしゃいだ俺は、即日ぬかるみの校庭で跳ね回り、
気が付けばポロシャツどろどろ(っつーか頭から靴まで)、
やべえお母さん悲しいだろな、とガクブルするが、
証拠隠滅も図れず、ショボーンと町歩いてた。<

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「○○、どした?また派手にやったなあ」

 
声をかけてきたのは、
お袋と俺が週に3回通っていた風呂屋の息子だった。
 
よく番台に座ってて、
あの日は学生服を着ていたから中坊か高坊か。
 
「昨日かってもらった服よごしちゃってうえええええええええ」
 
風呂屋息子は、涙と鼻水垂れ流して泥まみれの俺が
飛びついたのを怒るでもなく、
俺もよくやったよ等と言いながら家に連れ帰り、
商売ものの風呂に入れてくれた。
 
今でも、初めて入った、まだ窓から明るい光が入る時間の
銭湯の空気、自宅の洗濯機で俺の服を洗いつつ、
自分も脱いで俺の体を洗ってくれた大きな手の感触、
最後に奢ってもらったコーヒー牛乳の味は忘れられない。
服が乾くまでの間、Tシャツを借りた上に
番台に座らせてまでもらってすっかりご機嫌で帰った俺だったが、
やはりお袋にはバレたのだが…。
 
その後まもなく俺には新しい親父ができ、
引っ越し、あの風呂屋には行っていない。
だが、2年後に生まれた弟を、
口の悪い友達からはお前ちょっと兄馬鹿wなどと言われるほど
可愛がってるのは多分この体験が引いてるんだろうな。
 
まあ最後のはともかく、
あの風呂屋兄ちゃんにはマジで感謝してる。
 

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