披露宴で素晴らしいスピーチを披露したが実は

数年前、職場の同僚(男性)の結婚式に
招待されて出席した。
式も滞りなく終わり、披露宴会場に行く途中で
ウェルカムドリンクを
手に新郎(同僚)新婦や彼の学生時代の友達、
彼のご家族と話をして披露宴会場に着席。
そこで上司が祝辞を述べた後、
新郎友人のスピーチの段になった。

新郎の高校時代の友人A様より
って司会の人が紹介したとき、
新郎友人席でちょっとしたどよめき?が起きたんで
??ってなったんだがAさんがマイクに立ちスピーチが始まった。

Aさん「すみません。あまりに良い雰囲気のお式と披露宴、なにより
お似合いの高砂のお二人に見とれていたらもう自分のスピーチの番かと
思い焦ってしまいました。」
ここで会場からも温かい笑いがこぼれた。

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その後も原稿も無く出席者に
目を配りながら新郎との思い出を語るAさん。
新郎同僚は見た目はほんわかとしていながらも
気遣いが抜群で仕事も良くできる。
高校時代からそうだったんだとよく分かる
すばらしいスピーチだった。

最後にAさんは
「実は僕は高校を卒業してから、彼とは別の大学で、就職してからも海外に
行ったりしてましたので、高校を卒業してから彼がどういった環境に身を置い
ていたのかは余り知らないんです。
でも、今日ここに来ている皆様のお顔を
拝見しておりましたら、心から新郎を祝福しようと
している方ばかりに私の目には映ります。
彼の高校の時からの素晴らしい部分が変わっていないんだなと判って
とてもうれしいです。心からお二人の幸せをお祈りして、
スピーチを終わらせていただきます。」
でスピーチを締めた。

正直今まで出た結婚式で一番堂々と、
判りやすく、飽きさせず新郎の人となり
がわかる素晴らしいスピーチだった。祝辞を述べた上司は

「彼の前が自分のスピーチでよかった。
あんな素晴らしいスピーチの後に自分が話をする度胸無いわ。」

と言っていた。
長いので一旦切ります。

数日後新郎が出社してきて、
みんなでいい式だったねーと言う話をして、件の
スピーチが素晴らしかったねと言う話になった時に同僚が
実は と話し始めた。

実は本当はスピーチは別の人がやる予定だったのだそう。
で、その人がインフルになり、
急遽当日Aさんに白羽の矢が立ったそうな。
(高校時代から、人前で話すのを苦にしなかったらしい)
凄いのはここから。

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式当日の朝、元々スピーチをお願いされていた人から、
インフルで出席できない旨の連絡があった。
そこから式場の人、司会の人たちにAさんが代わりに
スピーチをする連絡をしていたんだが、
肝心のAさんにお願いするのをすっかり忘れていたそう。
(どうも色んな人にAさんが代わりにやると連絡していて、
伝えたものだと勘違いしたみたい。)

つまりあのどよめきは、何も知らないAさんと、
待合室で「スピーチ誰がやるのかねー」って
Aさんが言ってたのを聞いていた他の友人たちが、
急に司会がAさんの名前を呼んだからびっくりしたからだそうな。
でもこのAさん、腹を括って、ゆっくりと色んな人の目を見て話せば、
まぁ何とかなるだろうと意を決してマイクに立ったらしい。

自分が今までで一番だと思ったスピーチが、
全くのアドリブで生み出された物だと
知ったときが衝撃だった。上司にいたっては、
自分の一ヶ月の練習を軽く上回る
出来のスピーチが即興だったと知ってしばらく凹んでました。

Aさんについて式の数日後に同僚が
話してくれた所によると、上にも書きましたが
高校時代から人前で話すのは上手だったそうです。
それに加えて仕事で海外(英語圏)に転勤になった際、
そんなに英語が得意ではなかったAさんは意識して
ゆっくり 英語を話すようにしたんだそうです。

そうすると片言でもあいては自分を見てくれるし、
落ち着いて聞いてくれると判り
現地の人ばかりの職場でも仕事がスムーズに行ったそうです。
ゆっくり話すと、みんながスピーチを聞いてくれるし、
考えながら話せるのでお勧め
だと仰っていたそう。
それにしても中々出来ることではないと思いますが。。

尚、それを聞いてからと言うもの、
上司がミーティングやプレゼンでゆっくりと話を
するようになりました。元々貫禄はあるのにあがり症で、
人前だと早口になってしまう
人でしたが、ゆっくり話すようになり話が
聞き取りやすいと好評で、そのせいもあってか
近く昇進の話もあるようです

最後に一つだけ。
上司についてですが、
決して上司のスピーチが劣っていた訳ではありません。
本人は「俺はあがり症だからスピーチは勘弁してくれなー」
と毎回言うのですが、部下は全員お願いに行きます。

なぜならあがり症なのを自覚した上で、
少しでも部下の結婚相手の関係者に、
部下の良いところが伝わるように時間をかけて原稿を練り、練習し、
三分以内でスピーチを収めるように頑張って下さるからです。

結婚する部下が居ない隙を見計らって
「練習に付き合ってくれないか」
とその場にいる部下に缶コーヒーを奢って
時間を測ってもらって練ったスピーチを披露します。
ここはこうしたらどうか、
こんなエピソードも入れたらどうか、
と言った部下の意見にも耳を傾けつつ、
練り上げる人です。
(勿論今回結婚する部下も、誰かの練習に付き合ってますので
上司がこういった練習をしてることは承知の上です。)
上司はAさんのスピーチに負けたと思ってる様ですが、
上司のスピーチも同僚の人となりが伝わる素晴らしい物でした。
きっちり三分で終わりましたし。

上司は50代半ばくらいですが、全く偉ぶることもなく、
「僕も今まで頑張ってきたつもりだけど、君らには敵わんなー」
と良く言ってくれます。
部下の良いところを見つけると、
「おっ、そのやり方いいね。真似させてもらっていいか?」
と聞いてくれる人です。
なので一度会ったきりのAさんの良いところを
すぐに取り入れる事ができるんだと思います。

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